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2.45% 俺が『彼女』になって、ヤンデレ彼女を攻略します / Chapter 4: チュートリアル、クリア

Chapter 4: チュートリアル、クリア

Editor: Pactera-novel

「きょ、共犯……?」

樋口透は、信じられないといった様子で目の前の少女を見つめた。

陶器のように白い頬は煤で汚れ、指で拭った血の痕が頬で固まり、暗い赤色の筋を残している。

まつ毛を微かに震わせ、潤んだ瞳で。綾辻依は下唇をきつく噛みしめ、必死に目の前の恐怖に打ち勝とうとしていた。

その光景は、透が抱いていたこのゲームの「カノジョ」に対するイメージを、根底から覆すものだった。

話すことさえおぼつかない、あのか弱い少女が、今や人を殺しただけでなく、こんなことまで口にするなんて。

これも、自分がゲームの中に転移したことで起きた変化なのだろうか?

脳内で思考の嵐が吹き荒れた後、透はしばらく黙り込み、綾辻依の琥珀色の瞳を見つめて、ぽつりと口にした。「あ、ありがと……?」

「ど、どういたしまして……?」

綾辻依も、透からそんな言葉が返ってくるとは思っていなかったらしい。彼女は指先で前髪をいじりながら俯くと、透に掴まれていた手をそっと振りほどいた。

そして、おずおずと口を開く。「……私の方こそ、お姉さんを助けてくれて、ありがとう」

お姉さん、ねぇ……

樋口透は、やれやれとため息をついた。

まあいいか。どうせ女の子になったのはゲームの中だけだ。現実の自分が変わるわけじゃない。

そう考えている間にも、綾辻依はまだ血を流し続ける死体のそばまで歩み寄り、自分の果物ナイフを引き抜いた。「あ、あなたは先に行って。この死体は、私がなんとかするから」

彼女は男の片足を掴むと、力任せに後ろへ引きずろうとする。だが、か弱い彼女が全身の力を振り絞っても、男の体はびくともしない。

それどころか、よろけてしまい、危うく地面に倒れ込みそうになった。

透は思わず、ふっと笑みがこぼれた。「で、その後は?死体を処理し終わったら、どうするつもり?」

少女はしばらく黙り込む。「……どこかに、隠れる」

「どうして?」

綾辻依は答えなかった。

透も、好感度が足りない状態では何も聞き出せないと分かっていた。顎に手をやり、思案する。「とりあえず、この死体をなんとかするか」

「わ、私も手伝う」

綾辻依が再び死体の足を持とうと手を伸ばしたが、透は彼女に向かって首を横に振った。

この路地裏の詳しい状況は分からない。そもそも、殺したのは一時的な衝動からだ。その後のシナリオにこんな展開はなく、ゲームがこの先どう進むのか、見当もつかなかった。

透はあたりを見回し、すぐに必要なものを見つけた。

彼女は死体を汚いゴミ箱のそばまで引きずると、油で汚れたボロ布で包み、それからゴミ箱ごと蹴り倒した。

汚水と得体の知れないゴミが混じり合って死体を覆い隠す。道沿いのゴミ箱をすべて蹴り倒し、引きずってきた血の跡も、どうにかこうにか隠蔽することに成功した。

「まあ、やれるのはこのくらいか。路地の外、少し離れたとこに防犯カメラがあったはずだ。今夜、もうひと雨降ってくれりゃあ、上出来なんだが」

一連の作業を終えた透も、少女と同じように、全身泥だらけになっていた。

綾辻依は少し戸惑った様子で、スカートの裾を指でいじり、何度かためらった末、透に向かって深々と頭を下げた。「あ、ありがとう……!もし機会があったら、このご恩は必ず返します。何でもしますから!」

言うが早いか、彼女はくるりと踵を返す。

透は慌てて彼女を呼び止めた。「待って。今、行くあてなんてないでしょ。私の家、すぐそこなんだけど、来ない?」

綾辻依は、でんでん太鼓のようにぶんぶんと首を横に振った。「だめ。あなたに迷惑はかけられない」

「あのさ、そもそも殺したのは私なんだけど?」透は呆れたように白目を剥いた。もうすぐ手に入るはずのメインクエストの報酬を、みすみす逃すわけにはいかない。自分の体が本当に治る可能性があるのか、確かめたいのだ。

そこで、彼女は有無を言わせぬ口調で言った。「あなたが今逃げて、もし捕まったりしたら、私も終わりでしょ。さっき自分で言ったじゃない。あたしたちは、共犯なんだって!」

透は少女の前に立つと、問答無用でその右手首を掴み、綾辻依に断る隙を与えない。「今すぐ、私と来て」

綾辻依は、もう片方の手に血塗られた果物ナイフを握りしめたままだったが、今度は少し抵抗しただけで、うつむいて透に引かれるがままになった。

やはり、彼女を助けたことによる好感度と、「共犯」という関係性ができたおかげで、以前のような過剰な反応は示さない。

こそこそと身を隠しながらマンションの裏口から戻ると、通りすがりの警備員のおじさんに少し奇妙な目で見られた以外は、誰にも会わなかった。

そして、自宅の玄関の前にたどり着き、透が指紋認証ロックに人差し指を押し当てた瞬間、ゲームシステムのアラートが鳴り響いた。

【チュートリアルミッションクリア!:『七日間のカノジョ』を救出し、家に連れて帰る】

【報酬:所持金+300、現実世界の体力+1(配布済み)】

【ゲームシステム機能が正式に開放されました】

【新しいミッションが発行されました】

【各自で探索してください】

システムの他の機能を確認する間もなく、不意に耳元で機械的な音声が響いた。

「指紋認証に失敗しました。もう一度お試しください…」

この指紋認証ロックの、いつもの悪い癖だ。

二度ほど押しつけてようやく解錠し、透は綾辻依を中に引き入れた。

玄関の靴箱を開けた透は、自分用の「女性物」の靴がまったくないことに気づく。

スリッパも普段履きのスニーカーも、男物のデカいサイズしかない。

彼女は横目で綾辻依に視線を送った。

少女は行儀よくそばに立ち、両手を後ろで組み、脚をぴったりと揃えている。その細いすねにも、同じように煤汚れがついていた。

その下の真っ白なフラットシューズは、片方が大きく破れ、丸いつま先がはっきりと見えている。

「とりあえず、これ履いて」

大きなスリッパを受け取ると、綾辻依は慎重にしゃがみ込んだ。

一方、樋口透はすでにリビングに着き、眉間を揉んでいた。

彼女は、非常に厄介な問題に気づいたばかりだった。

自分はゲームに転移して女の子になった。

だが、この家の中は、現実の自宅がそのまま再現されている。

つまり、今着ている服以外、この家には女性の生活用品が一つもないのだ。

今でさえ履き替える靴がないのに、この後シャワーはどうする?

死体を処理したせいで、自分の体はひどく臭う。

綾辻依は言うまでもない。何が原因で逃げ回っていたのかは知らないが、服も靴もボロボロで、小さな顔は石炭みたいに真っ黒だ。ただ、その輪郭から、隠しきれない可愛らしさが滲み出ているだけ。

「頭痛ぇ……!」

透はため息をついた。今すぐにでもゲームを終了して現実に戻り、報酬が本物かどうか確かめたい衝動に駆られる。

しかし…

振り返ると、リビングの隅っこで、綾辻依が所在なさげに首をすくめていた。大きなスリッパから覗く、真っ白な小さな足が、どこか滑稽に見える。

彼女はひどく緊張していた。

さっき路地裏で見せたような「熱血」は、見る影もない。

透は手招きした。「そんな遠くに立ってないで。取って食ったりしないから」

「それに、あたしたち二人とも女の子なんだし。まさか、私があなたに何かするってわけでもないでしょ?」

初めて、女の子という身分が少し便利だと感じた。

一周目の時。

スマホでゲームをプレイしていた時は、初日に女の子を家に連れて帰っても、彼女は一言も喋らなかった。何を尋ねても、まるで口のきけない子のように黙り込んでいるだけ。

二日目になって、ようやくぽつりぽつりと話せるようになった。

ゲームとしてプレイする分には、そういう育成感は達成感があっていい。

だが、いざ現実となると、透はただただ頭が痛くなるだけだった。

綾辻依をソファのそばまで引き寄せ、透は真剣な眼差しで言った。「あたしたち、もう運命共同体なんだからさ。そこんとこ、分かってる?」

綾辻依はこくりと頷いた。

「だったら、これからいくつか、先に決めておきたいことがある。協力してもらうわよ」

「うん、うん」

透は続けた。「じゃあまず、身長、体重、それからスリーサイズ、教えてくれる?」

「……は?」


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