もう一度、一撃しよう。
また一撃し、魔化巨大ネズミが倒れて死んだ。江崎は安堵のため息をついた。幸い百倍増幅したおかげで、一撃で倒せなくても二撃で何とかなった。
吼······
魔化巨大ネズミのボスが怒りの咆哮を上げ、長剣を手に持ち、江崎に向かって炎を放った。江崎は迫り来る炎を見て、瞬時に敏捷モードを発動させた。
身体を素早く動かし、炎の攻撃を避ける。
魔法攻撃は十分な速さがあれば避けることができる。江崎は素早く剣を抜き、剣の光を魔化巨大ネズミに向けて放った。
-500····
江崎は驚いた。血量が500しか減っていない。
この魔化巨大ネズミのボス、物理防御がこんなに高いのか?
一撃で倒せないなら二撃、二撃でダメなら三撃······
近接戦については、江崎は考えていなかった。縦横剣気の状態を発動させたとはいえ、この魔化巨大ネズミのボスは魔法を使う。魔法を一発食らえば、江崎はもたない。
死亡する可能性が非常に高い。
江崎は賭けに出ず、遠距離戦に徹し、基本剣術で攻撃するしかなかった。
幸い基本剣術は速度が速く、攻撃力も強い。一回の攻撃で500のダメージを与えられるなら、10回でボスを倒せる計算だ。
江崎は再び剣を振り、またも剣の光をボスの体に命中させた。
-500·····
また500のHPが減少した。
魔化ボスは再び長剣を振り上げ、江崎に向かってまた炎を放った。迫り来る猛烈な火炎を見て、江崎はすかさず魔法攻撃を避けた。
身を止めた後、再び剣を振るう。
また攻撃が命中した。
血量が徐々に減少していくのを見て、江崎は希望を感じた。
その時。
魔化巨大ネズミのボスは危険を感じたのか、体の周りに光が現れ、全身を包み込んだ。
江崎は再び攻撃モードを発動した。
-100·····
江崎は信じられない思いだった。
どういうことだ?
これは魔法シールドか?
まさか400ものダメージを防いだのか?
そのとき、魔化巨大ネズミのボスが江崎に向かって突進してきた。
野外の魔化物には一定の知性がある。特にボスクラスの存在、それもエリートランクのボスなら、知性はさらに高い。
おそらく江崎の強さを感知し、素早く防御モードを発動して、近接戦で江崎を倒そうとしているのだろう。
江崎は眉をひそめた。
防御モード状態のボスは、簡単には倒せない。
江崎は気を引き締めて警戒した。
近接戦も恐れてはいない。
江崎は魔化ネズミのボスに向かって突進し、素早く動いた。
10メートル·····
8メートル·····
5メートル·····
2メートル·····
百本の剣気が敵を感知し、瞬時に百本の剣気がボスを攻撃した。シュシュシュ·····
-100····
-100····
-100····
瞬く間に、魔化ボスは死亡した。
百本の剣気、それぞれが100のダメージを与え、百本合わせれば一万のダメージとなる。
チリンチリン·····
江崎は安堵のため息をつき、倒れて死んだエリートボスの装備を見て、顔いっぱいに笑みを浮かべた。
【血色の長剣(白銀)】
【職業:剣客】
【レベル:10】
【物理攻撃力:20-30】
【魔法攻撃力:20-30】
【力量+5】
【精神力+5】
【体質+5】
【敏捷性+5】
【耐久力:20/20】
【スキル1:魔法ライトシールド保護を発動、持続時間1分·····間隔時間50分···】
江崎は驚愕した。
これが白銀級の装備だったとは。攻撃力がこれほど高く、しかも敏捷性、体質、精神力、力量まで上げてくれる。
全能力値が上昇する。
それだけでなく、スキルまで内蔵している。
これは本当にすごすぎる。
江崎は興奮を抑えきれなかった。この武器はあまりにも強すぎる。
江崎は急いでこれを装備した。
【スキル効果増加中····増幅成功】
江崎は呆気に取られた。
武器に内蔵されているスキルも増幅できるのか?
これは·····
【スキル1:魔法ライトシールド百層保護を発動、持続時間100分·····間隔時間0.5分···】
何を変態と呼ぶかといえば、まさにこれだ。
百層の魔法ライトシールド?
ここに立っていて好きなだけ攻撃しても、俺の盾を破ることはできないだろう。
江崎は興奮して仕方がなかった。
興奮が収まった後、地面にまだ鍵が落ちているのを見つけた。
【幽冥の祭壇の鍵】
【幽冥の祭壇を開くための鍵。鍵を持っている者だけが幽冥の祭壇を開くことができる。少年よ、準備はできているか?】
江崎は鍵の説明を読んだ。
やはり隠しクエストが始まったようだ。
祭壇の鍵、これは隠された秘境、ダンジョンを意味し、そしてダンジョンを開くには鍵が必要だ。
江崎は祭壇に向かった。
祭壇に挿し込む穴があるのを確認した。
江崎はもともと少し不安だったが、魔法シールドを手に入れた今、もう全く心配はいらない。ためらうことなく鍵を穴に差し込んだ。
すると地響きがし、洞窟全体が揺れ動いた。その時、祭壇の上に空間の亀裂が現れた。
江崎は祭壇を見つめた。
【幽冥の祭壇ダンジョン:悪夢級】
【人数:1-20人】
【レベル制限:10-20】
ダンジョンは通常5つのランクに分けられる;通常級、危険級、困難級、悪夢級、地獄級···
5つのランクがあり、地獄級が最も難易度が高い。
悪夢級がその次だ。
5つのランクで、1つランクが上がるごとに、ダンジョンの難易度は何倍も上がる。
このダンジョンの難易度は悪夢級だ。ランクが高いほど、より良い装備が出現する確率が高まる。
江崎は深く息を吸い込み、素早くダンジョンに入った······
初めてのダンジョンは、装備が最も出やすい。
······
江崎がダンジョンに入った時。
諸神の意志が降臨した。
タテンス丘陵の全域に世界の意志の声が響き渡った。
【幽冥の祭壇ダンジョンが正式に開放されました】
全ての人々が完全に困惑した。
「何が起きてるんだ?」
「誰かがダンジョンを開いたってことだ。一体誰だ、こんな運のいい奴が」
「ダンジョンが開くってことは、たくさんの装備が手に入るってことだ」
「探せ、すぐに探し出せ、このダンジョンの場所を必ず見つけろ」
「ダンジョン、まさかダンジョンだなんて!ここにダンジョンが現れたんだ。おそらく新人用のダンジョンだろう。すぐに探せ、必ず見つけなければ」
その時。
タテンス丘陵にいたすべての勇者が同時にこの情報を受け取り、人々は動き出し、誰もがダンジョンの所在地を探し始めた。
まるで興奮剤を打ったかのように、全地域がダンジョンの場所を捜索していた。
·····
江崎は幽冥のダンジョンの中に入った。
洞窟全体は十数メートルの高さがあり、壁には松明が灯され、通路全体を照らしていた。暗くて湿った通路からは、不気味な気配が漂っていた。
江崎は即座に魔法シールドを発動させた。
百倍増幅の魔法シールドがあってこそ、自分を守る力を持つことができる。
江崎は通路に沿って前進した。
前方の敵を見つめる。
【幽冥の衛士】
【レベル:14】
【HP:8000/8000】
【物理攻撃力:70-90】
【物理防御:40-60】
【魔法防御:40-60】
【説明:幽冥の祭壇を守護する衛士。彼らは強大な力を持つ】
幽冥の衛士は武器を手に持っていた。
8000のHP、さすが悪夢級の存在だ。これはまだ通常の敵に過ぎない。エリート敵だったら、血量は万を超えるだろう。
江崎は幽冥の衛士に近づいていった。三十メートルの距離で、江崎は突撃を仕掛け、剣の光が素早く敵に向かって飛んでいった。
-3000·····