「あそこにあるのは年齢や、魔力を吸い取る儀式祭壇ですよね ? あれは死者を祀るものでは無かった」
「ええ。ええ、そうよ。
私は顔の造作なんてどうでもいいの。寿命が欲しいのよ ! だって女王の私がやらなければ ! 人間はもっと悲惨な者で溢れてしまうわ !
魔力もよ。兵士の働きだけでは限界がある。魔力が欲しかった !!
でも貴女が現れた。有能な魔法使い。
そこで考えたの。
私が魔法使いを犠牲にして魔術師でいるより、貴女を宮廷魔術師としようと。
今までの犠牲者に罪の清算をしろと言われたら、喜んでするわ。
でも、今じゃないわ」
「わたしの仲間は犠牲になりました……わたしも湖で溶けかかった」
「本当に申し訳ないと思うわ。それをすぐに辞めなかった自分の心の弱さも全て。人は老いるもの。誰かが意志を継げばいい。私も馬鹿ね。
リリシー ? 『仲間の身体を背負った』あなたなら……罪と使命……時に人は、頭が割れるように難しい判断が存在し、世の中はそれの繰り返し。それを理解できるはずです。
今の所、私が出来ているのは、炎城の街の発展と民の安心出来る生活空間の提供。
そして他の国と掛け合い、この世から奴隷制度を撤廃した事」
「あれもあなたが ? 」
「……でも、あまり胸を張れる事じゃないのよね。
スカーレット領の孤児院や教会は、虐待はなくともまだまだ貧しいまま。
他の国は言うまでもない。貴女の方が詳しいと思うわ」
「奴隷商から孤児院に、飼い主が変わっただけ……ですね。虐待も続いてます」
「そう。暴力も飢えも続いている。
リリシー。貴女の魔力、賞賛に値するわ。
是非、この炎城で宮廷魔術師として活動して欲しいの。仲間もあなたが選定して、正しい人間を選べるように。
私は貴女がいてくれるなら、もう魔術は必要が無くなるわ。
あのダンジョンの誘致活動を撤廃する事を誓う」
「あなた……クロウを拐ってるわよね ? 」