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警察を見た途端、木村飛雄と佐藤青史の顔色が一変した。まるで親族に会ったかのように親しみを感じているようだった。
飛雄は目を丸くして、すぐに反応し、私を指さして大声で叫んだ。
「早くこの老いぼれを捕まえてください!私たちを誘拐したんです!」
青史もそれに便乗して、甲高い耳障りな声で言った。
「そうです、そうです!彼が私たちを誘拐したんです。早く彼を捕まえてください!私はあなたたちの局長の親戚なんですよ。早く私たちを解放してくれれば、あなたたちに功績をつけてあげますから!」
私の心は悲しみと怒りでいっぱいだった。本当に救いようがない!
こんな状況になってもまだ自分のことしか考えておらず、被害者に対する罪悪感など微塵もない。
今回も私は負けてしまうのだろうか?
次の瞬間、彼らに返ってきたのは、警察官が彼らに光る手錠をかけることだった。
飛雄は信じられないという表情で警察官たちを見つめ、声を張り上げて叫んだ。
「人違いですよ!私たちこそが被害者なんです!」
警察官は厳しい眼差しで言った。
「あなたたちは故意傷害罪、隠蔽罪、さらに脱税など複数の罪状に関わる疑いがあります。法に基づいて逮捕します!」
青史はまだ警察が見せかけだけだと思っていたのか、すぐに以前の傲慢さを取り戻し、私に向かって唾を吐きかけた。
「さっきは調子に乗ったな?お前がそんなことを知ったところでどうだというんだ?もうお前には外に出て話す機会はないんだよ。ふん!私が出たら、お前の娘をどうやって殺してやるか見ていろ。離婚だと?来世にでもしな!ちっ!」
私は口元を少し歪めて笑い、すぐにスマホを取り出して彼らの前に差し出した。
「残念ながら、もう50万人がこの件を知っているんだよ。どうする?」
「コメント欄はお前を罵倒する声でいっぱいだ。読んであげようか?」
飛雄は賑わっている配信ルームを信じられない様子で見つめ、顔色が一瞬で真っ青になり、血の気が引いたようだった。
彼は口を大きく開け、つぶやいた。
「まさか配信していたのか?ありえない、ありえない…お前、よくそんなことを!」青史はこの突然の衝撃に耐えられず、目の前が真っ暗になり、その場で気を失ってしまった。