Chapter 7: 第7章

これからの一か月、私は姿を消した。

斎藤彰人は私を見つけられず、加藤家も私を見つけられなかった。

彼らは私が折れて、隠れていると思ったのだろう。

ただ林清雅だけは、何か危険の気配を察知していたようだ。

彼女は人を通して私に連絡し、立ち退き料を倍額で払うから祖母に引っ越してもらいたいと伝えてきた。

私は無視した。

私と篠原悠真のチームは秘密の拠点に身を隠し、昼夜を問わず作業を続けた。

編集、音楽、ナレーションの執筆。

私はカメラに向かって、この5年間の物語を最初から最後まで、ありのままに語った。

泣くことも非難することもなく。

ただ静かに事実を述べただけだ。

斎藤彰人とどう出会ったのか、彼の「向上心」と「深い愛情」にどう心を動かされたのかを語った。

私がどのように人脈とリソースを駆使して、彼を無一文の貧しい学生から、今日の輝かしい「斎藤社長」へと成長させたかを語った。

彼がどのように私に甘い言葉をかけながら、一方で高嶺の花と密会していたかを語った。

彼がどのように私のお金を使って、彼の女神のために道を切り開いたかを語った。

最後に、祖母の古い家が立ち退きを迫られている映像を流した。

私はカメラに向かって、最後の言葉を述べた：

「私の名前は加藤美桜。かつて私は、真心には真心が返ってくると信じていました。しかし今は分かったのです。ある人々にとって、真心とは利用され踏みにじられる安価な商品に過ぎないのだと」

「今日、私が立ち上がったのは自分のためではありません。86歳の祖母のため、そして私たちのように資本と権力に押しつぶされ、訴える場所がない普通の人々のためです」

「私たちのために、公正を求めるのです」

視聴映像の発表会は金曜日の夜に設定された。

主要メディアは一切招待せず。

ネット配信のみで行った。

発表会が始まる30分前、オンライン視聴者数はわずか数千人だった。

悠真は緊張し、手に汗をかいていた。

私は落ち着いていた。

会場の疎らな席を見ながら、小声で言った。「大丈夫。星の火でも、原野を焼き尽くすことができるから」

夜8時ちょうど。

配信開始。

ドキュメンタリーのタイトルは「権力の影」。

映像は巨大なスクリーンで上映された。

会場は静まり返り、映像から流れる音だけが響いていた。