Chapter 10: 実母に謀られた
Editor: Pactera-novel
「小林颯真、前田紫月はいい人じゃない。彼女は……」
「彼女がいい人かどうかはお前が教えることじゃない。もし紫月にもう一度迷惑をかけるなら、絶対に許さないぞ。」
「颯真、あなたは絶対後悔する！」
「一番後悔してるのはお前と結婚したことだ。斎藤詩織、俺は離婚する！」
「いいわ、離婚しよう。」
詩織は鼻をすすり、颯真の部屋を出て行った。
……
翌日、詩織は日が高く昇るまで寝ていた。
朝起きたら必ずスマホでニュースをチェックし、SNSを見るのが習慣だった。
見るまで知らなかったが、見てみると驚愕した。
一夜にして、紫月と颯真の写真がネット上で拡散されていた。
颯真の不倫は動かぬ証拠があり、会社の株価は大暴落。紫月はネットユーザーから散々な罵倒を浴び、彼女を批判する投稿が次々と現れていた。
最初に情報を投稿した有名アカウントはブロックされたが、すでに写真は流出し、密かに拡散し続けていた。
詩織はこれを見て溜飲が下がった。
紫月というあの聖母面はきっと今も颯真の腕の中で泣きじゃくっているに違いない。
自業自得だ！
詩織は身支度を整え、鼻歌交じりに階段を降りて朝食を取りに行った。
小林の母は険しい表情でソファに座っており、詩織が降りてくるのを見ると冷たく言った。「こっちに来なさい。」
「お母さん？」
詩織は疑問を抱きながら、足早に近づいた。
「あの写真、あなたが投稿したの？」小林の母は不機嫌そうに問いただした。
「違う！」詩織は首を横に振った。自分を助けてくれた人が誰なのか、彼女自身も知りたかった。
「本当に違うの？」
「投稿していない。」
「あなたじゃないなら良いけど。」小林の母は明らかに詩織の言葉を信じておらず、諭すように言った。「今、会社の株価がひどく下がってる。お母さんはあなたに大局を見て、颯真と一緒に出て状況を収めてほしいの。」
「何を収めるって言うの？」
颯真の不倫は事実なのだ。彼女には白を黒と言い張る度胸などなかった。
「詩織！」小林の母は手に持っていた茶碗をテーブルに強く置いた。「確かに颯真のしたことは間違ってる。でも、あなたは颯真のキャリアが台無しになるのを黙って見ていられるの？」
もう離婚するのに、なぜ彼のことを気にかける必要があるのか。
たとえ彼女が気にかけても、彼は感謝すらしないだろう。
詩織は小林の母に新しいお茶を淹れ、彼女に差し出した。「お母さん、颯真のことは心配しないで。彼は無能な人間じゃない。きっとうまく解決する。彼が紫月と一緒になると決めたなら、どんな困難も乗り越えるでしょう。彼が私たちの気持ちを考えないのに、なぜ私たちが彼のことを心配しなきゃいけないの？」
小林の母はお茶を受け取り、言いかけては止めた。「はぁ…」
……
朝食を終えると、詩織は颯真の私設弁護士から電話を受けた。
彼女は身支度を整え、自分で書いた離婚協議書を持って出かけた。
弁護士事務所に着くと、詩織が車から降りる前に、噂を聞きつけた記者やパパラッチに囲まれていた。
まったく、紫月と颯真という不倫カップルのおかげで、彼女まで注目を浴びることになった！
記者たちが車の窓を叩き続け、詩織は歯を食いしばって窓を下ろした。
様々な厳しい質問が彼女に向けられた。
「小林さん、ご主人の不倫を事前に知っていましたか？」
「今日、弁護士事務所に来たのは協議離婚のためですか？」
「小林社長から離婚を切り出されたら、応じるつもりですか？」
このような大きな状況に直面して、詩織は毅然として答えた。「離婚を言い出すなら私の方よ。彼と結婚して3年、私を満足させることもできないくせに、外で女を作るなんて、どんな人間？こんな男、要りません！」
すぐにパパラッチが追求した。「小林さん、つまり小林社長はEDということですか？」
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