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55.55% 偽りの結婚式で、本物の夫を連れてきた / Chapter 5: 第5話:救済者の到来

Kapitel 5: 第5話:救済者の到来

第5話:救済者の到来

[詩織の視点]

強い腕に支えられて、私は恐る恐る顔を上げた。

見覚えのある顔だった。昨日、役所で一緒に入籍手続きをした男性。月城暁(あかつき)。

「怖がるな。俺がいる」

彼の声が私の耳元で囁かれる。その瞬間、荒れ狂っていた心が嘘のように静まった。

会場がざわめいている。人々の視線が私たちに集中していた。

暁は私をそっと立たせると、晃牙たちとの間に割って入った。まるで盾のように、私を守るように。

「あんた誰だよ」

晃牙が険しい表情で暁を睨んだ。

「詩織に雇われた役者か?いくら貰ったんだ?」

暁は微笑んだ。穏やかで、それでいて威厳のある笑みだった。

「役者?」

彼は首を振った。

「俺は月城暁。詩織の夫だ」

会場が一瞬静まり返った。

晃牙の顔が青ざめる。

「まさか...本物の?」

「本物も何も、俺以外に月城暁はいないからな」

暁の声は落ち着いていたが、そこには揺るぎない自信があった。

私は床に落ちた結婚証明書を拾おうとした。汚れてしわくちゃになった紙を見て、胸が痛んだ。

暁がそれを受け取って、丁寧にスーツの内ポケットにしまった。

「大切な書類だからな」

彼の優しい仕草に、私の目頭が熱くなった。

晃牙の心は嫉妬と怒りで煮えくり返っていた。詩織が自分以外の男と結ばれるなど、考えただけでも腹が立った。彼女は自分のものだったはずなのに。

「詩織とはどうやって知り合ったんだ?」

晃牙の声には隠しきれない敵意が滲んでいた。

拓海が嘲笑うように口を挟んだ。

「詩織は少し前まで晃牙に結婚してくれって懇願してたんだぜ?そんな女と結婚するなんて、よっぽど物好きなんだな」

[詩織の視点]

拓海の言葉が胸に突き刺さった。でも、今度は違った。

「晃牙を好きだった時期はあったけど、今はもう何とも思ってない」

私は毅然として言い返した。

「彼を好きだったっていうだけで、一生笑われ続けなきゃいけないの?」

会場が静まった。私の声が震えていないことに、自分でも驚いた。

暁が穏やかに口を開いた。

「若い頃、誰だって間違った人を好きになることはあるさ」

彼の言葉が場の緊張を和らげた。

「でも、それで人を笑うのは大人のすることじゃない」

晃牙の顔が真っ赤になった。でも、何も言い返せずにいた。


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