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夜が明けた後、私はこの家にあるすべてのものを片付けた。
そして、自ら財産を放棄する離婚協議書を須藤麗に送った。
もう彼女に離婚で脅される必要はない。
彼女が安藤愛の命を救うお金を持ち去り、愛が目を閉じたその瞬間に、この8年の結婚生活はすでに終わっていたのだから。
愛を埋葬した後、私はこの家を完全に出て行くつもりだ。
麗、あなたは自由になった。
麗は飛行機から降りたばかりで、私の離婚協議書を受け取ると、怒りの電話をかけてきた。「河村哲、本当に図々しくなったわね。私があなたの内緒のお金を取ったからって、そんなにケチなの?」
「離婚したいなら、いいわよ。でも離婚後は愛は私と一緒に住むわ!」
私は悲しみを押し殺し、冷静な口調で答えた。「もしあなたの心に愛の居場所があるなら、戻ってきて彼女の最後を見送ってあげて。」
この言葉を聞いた麗は激怒した。
「最後を見送る?哲、何を言ってるの?」
「私を騙して帰らせるために、愛が死ぬなんて呪うの?あなたにはもう父親の資格なんてないわ!」
私は彼女の怒りに応えず、電源を切り、墓地へ向かった。
今の愛は、きっと私たちの言い争いなど聞きたくないだろう。
一方、私が電話を切った直後、市民病院からも麗に電話がかかってきた。
携帯画面に表示された「市民病院からの着信」という文字を見て、麗の表情は厳しくなった。少し間を置いてから電話に出た。
電話の向こうから、病院の看護師の申し訳なさそうな声がすぐに聞こえてきた。
「須藤麗様、お電話ありがとうございます。愛ちゃんを救えなかったことを深くお詫び申し上げます。愛ちゃんの遺品が病院に残されています。日記帳なのですが、いつご都合がよろしいでしょうか?取りに来ていただけますか?」