山本瑶子は綺麗な顔立ちで、澄んだ瞳と真っ赤な唇、柳のように細い腰を持ち、大胆な服装をしていた。
一目見ただけで、人々を魅了するような存在だった。
まるで小鹿が真っ直ぐにあなたの心に飛び込んでくるような。
山本おばさんは笑顔で私の器にエビを一匹取り分けてくれた。
【久しぶりね、辰くんも大きくなって、本当に若くして立派になったわ。】
箸を下ろそうとした時、山本瑶子が私の器のエビを取った。
【お母さん、辰くんは魚介類アレルギーだって忘れたの?】
山本おばさんは呆れたように山本瑶子を見た。
【まったくあなたは、辰くんの好き嫌いは覚えているのに、お母さんの好物は覚えていないのね。】
山本瑶子が言った。
【もちろん知ってるわ、田中おばさんと田中おじさんの好物も全部知ってるもの。】
山本おばさんは私と山本瑶子を面白そうに見た。
【ほら見て、いつも他人贔屓ね。】
【ただ残念なのは……】
私はふと気づいた、山本瑶子の片方の耳が赤くなっていた。
お酒を飲んだ後、父は家の運転手に私を家まで送らせた。
夏川和子はまだ帰っていなかったが、今日は面白いことになるだろうと分かっていた。
携帯を開くと、案の定、数十件の着信があった。ただし、私はマナーモードにしていた。
しかし、いつの間にか山本瑶子とWeChatで友達になっていたことに気づいた。
私は心を落ち着かせて、夏川和子に電話を掛け直した。
電話が繋がった瞬間、夏川和子は即座に怒鳴り始めた。
【田中辰也、このカードはどういうこと?私がどれだけ恥をかいたか分かってるの?】
【言っておくけど、この件について説明してくれないなら離婚するわよ!】
私は急いで状況を尋ねた。夏川和子との離婚は願ってもないことだが、財産分与はさせられない!
夏川和子は私が弱みを握られたと思うや、すぐに状況を話し始めた。
実は、夏川和子と彼女の母が買い物に出かけた時、愛人とその息子に出くわしたのだ。
両者が出会った瞬間から、火薬庫のような雰囲気になった。
その愛人の息子も金持ち女性に取り入っていて、わざと夏川和子を侮辱した。
夏川和子はもちろん黙っていられず、すぐに私が渡したカードで母親に高級品を買い与えた。
相手も負けじと買い物を続け、何度かやり取りした後、夏川和子のカードが凍結されてしまった!