工藤親分の妻は甘くてワイルード

秦野詩織はどうしようもないドロドロ小説の世界に転生してしまった。
彼女が演じるのは不遇なサブヒロイン。婚約者には婚約を破棄され、ヒロインには利用され、復讐に燃えるサブキャラにまでいびられる。家族の為なら肝臓も腎臓も捧げ、とにかく必要とされるなら彼女は犠牲になる。それはもう忠犬は何も得られず、悲惨な最期を迎えるとなるのだ。
そんな最悪な脇役になった彼女は、もはや崩壊寸前だった。
お金は魅力的じゃない？美味しい食べ物は楽しめない？生きているって素晴らしくない？なんてあんなことをしなきゃ……
工藤彰人が初めて秦野詩織に会ったとき、彼女は元婚約者を見事にコテンパンにしていた。
心の中で「……なんて強い女だ」と思った。
工藤彰人が二度目に秦野詩織に会ったとき、彼女は四階から軽々しく飛び降り、そして完璧に着地した。
彼も正直、心が折れそうになった。
そして工藤彰人が三度目に秦野詩織に会ったとき、ステージで甘くてセクシーでワイルードなダンスを披露する彼女をみた。
彼の心は完全に奪われた。
かつて秦野詩織をいじめていた連中は、彼女が超セレブと付き合っていることを知り、彼らも心が折れた。彼らは秦野詩織が工藤親分にフラれる日を願っていた。
しかし結果は、科学研究の第一人者、コンピューター界のカリスマ、そして医療界の天才まで……これら全てが秦野詩織だったのだ。
1VS1の甘い恋愛小説で、最強の男女の溺愛ストーリー。主人公の大富豪の目に映る妻は、この世で最も完璧な存在なのだ。