Kapitel 3: 第3章：恨みには元がある、借りには主がいる
楚老爺さんの後始末はすべて華家の人たちが手伝ってくれ、自宅に霊堂を設けた。
その前に孫家の連中が図々しくやって来て、あれこれとどうでもいいことを言っていたが、その目に浮かぶ打算は芸一の目を逃れなかった。
彼女は元の芸一ではない。そんな連中を甘やかすつもりはなかった。
楚老爺さんの葬儀が終わった後、華万青は顧家の人たちを連れて芸一と共に楚家へ戻った。
軽く挨拶を交わした後、本題に入った。
華万青は随行の鞄から茶色の封筒を取り出し、言った：「今さら何を言っても、起こってしまったことは変えられません。これは華家のほんの気持ちです。どうか受け取ってください。
ご安心を、今後もし華家が役に立つことがあれば、命を懸けてもお力になります。」
そして一言付け加えた：「もちろん、法律に反することは除きますが。」
その後、顧培炎も茶色の封筒を取り出し、申し訳なさそうな表情で言った：
「本当に申し訳ありません。我が顧家のせいで、楚老爺さんが巻き込まれてしまいました。どうかこれを受け取ってください。」
そう言って、封筒を脇の机に置き、さらに一枚の紙を芸一に差し出した：
「これは我が顧家の人間の各地の連絡先です。何かあれば、いつでもご連絡ください。」
お祖父さんの死は、彼らに直接関係していた。けれど、もう亡くなった今となっては、多くを言っても意味はない。
芸一はその紙を受け取り、机の上の封筒に目をやった：
「おじいちゃんは確かに理不尽な目に遭いました。このことは、あなたたちが一番よく分かっているでしょう。でも、仇には仇の主がいる。この品はお持ち帰りください。」
彼らがさらに説得しようとしたが、芸一に止められた：
「私が聞きたいのはただ一つ。おじいちゃんを害した背後の人物は誰ですか？」
華万青と顧培炎は目を見合わせた。本当は芸一にこの話をするつもりはなかった。彼女はまだ若すぎると思ったからだ。だが、やはり知る権利はあると思い直し、将来の備えにもなると判断した。
何しろ、あの男は手段を選ばない人物だ。
顧培炎は重々しい口調で言った：
「それは京市の沈家（しんけ）です。当主の沈重陽（しん・じゅうよう）は、我が顧家と深い因縁を持っています。」
顧培炎から沈家の情報を聞いた後、芸一の目に冷たい光が閃いた：「数日後、私は下放されます。沈家の件、どうかお二人にお任せします。何か情報があれば、教えていただければ幸いです。」
彼女が下放されると聞いて、華万青も顧培炎も驚いた表情を見せた。
華万青は眉をひそめて言った：「今の政策では、君は下放の対象じゃないはずだ。楚老も、そろそろ病院で働く予定だと言っていたのに、どうして急に下放することに？」
芸一はもともと隠すつもりもなかった。自分がいなくなった隙にまた孫家に入り込まれないように、どうせ彼らがどれだけ厚かましいかはよく分かっているからだ。
そこで彼女は簡単に事情を説明した。華万青は複雑な表情で芸一を見つめ、言葉を失った。
とはいえ、この少女が間一髪で目を覚ましたのは幸いだった。無知のまま突き進むことがなく、方向転換したのを見て、やっと安堵の息をついた。
芸一は、元の主人格が孫瑞明と蘇愛玉から聞いたことを思い出しながら目を細めた。彼女を利用しようなんて、そうはいかない。
「華おじさん、もう一つお願いがあります。」
華万青はうなずいた：「言ってごらん。」
芸一は軽く咳払いして言った：「下放されるのは避けられませんが、場所を東北に変えていただけないでしょうか。」
それを聞いて、華万青は眉をひそめた：「東北は寒すぎる。君のような若い娘には無理だ。」
だが芸一の考えは違った：「東北は冬眠（猫冬）できるので、数ヶ月の労働を省けます。他の地域より楽です。」
彼女がすでに決意していると見て、華万青も承諾した：「わかった。その件、私が手配しよう。」
今や楚芸一は、華家と顧家の両家が守るべき存在だった。だからこそ、彼女を簡単に利用されるようなことは絶対にさせなかった。
終章。
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