Kapitel 2: 最初の犯人を捕まえる_1
Redakteur: Pactera-novel
天心ショッピングモールの入口付近。一人の男が怒りに歪んだ顔で包丁を手にし、電動バイクを乗り回していた。交通警察に呼び止められたその男は、降車すると一言も発さず、いきなり包丁を振りかざして警察に斬りかかった。真紅の血が傷口から噴き出し、警察は重傷を負って倒れ込む。
この突然の凶行は一瞬のうちに起こり、周囲にいた人々は呆然とするばかり。男は血染めの包丁を握りしめ、素早く傍らにいた別の男性を人質に取った。
「うわあっ！助けてくれえ！」捕まったがっちり体型の男性は恐怖の悲鳴をあげた。
たばこを買いに出ただけなのに、命の危機に直面するとは、誰が想像しただろうか！
今からポケットのたばこを捨てたら許してくれるだろうか…！
通行人もようやく状況を理解し、恐怖の悲鳴が上がり、現場は大パニックに陥った。
救急車と警察に通報する人もいたが、包丁を振り回して人々に後退するよう叫ぶ男に対して、誰も近づく勇気はなく、ただ警察と救急車が早く来ることを祈るしかなかった。
救急車が到着すると、皆で協力して警察を運び込んだ。
警察も現場に到着した。しかし、凶器を手に人質を取る犯人に対し、前に出ることもできず包囲陣を敷くのが精一杯だった。
神崎美桜が到着した時、目の前に広がっていたのはそんな膠着状態だった。
地面には真っ赤な血だまりが広がっており、その犯人を見た瞬間、美桜の脳裏には彼の犯行動機が浮かんだ。
犯人の大久保哲也（おおくぼ てつや）は長年妻に暴力を振るい続け、妻がようやく離婚を決意して伝えた時、反省するどころか逆上。妻に浮気相手がいると疑い始めた。
特に、友人から送られてきた妻が他の男と笑っている写真が決め手となり、哲也は包丁を手に当てもなくバイクで飛び出し、交通警察に止められたことで内心の怒りを爆発させ、警察に重傷を負わせたのだった。
美桜は怒りに震えた。「くそ！」
人質さえいなければ、迷わず車でこのクズを轢き殺していたところだ！
彼女は犯人へと歩み出ながら、心の中でシステムに問いかけた。「もしこのクズを捕まえようとして死んだら、公務災害になる？」
システムは優しい声で、最も冷酷な答えを返した。[宿主の自然死としてカウントされますよ]
その答えを聞いて、美桜が車で轢き殺したいリストがまた一人増えた。
美桜は深く息を吸い、とりあえず心の激情を抑えた。
皆が後退する中、美桜だけが前に進んでいた。
この流れに逆らう動きは、すぐに警察と哲也の注意を引いた。哲也は目を見開き、警戒しながら美桜を睨みつける。「何をするんだ！もう一歩でも前に出たら、こいつの顔をメチャクチャにするぞ！」
そう言って、元々男の首に当てていた包丁を、その顔にぐいと押しつけた。
160キロを超える大柄な男は恐怖で体を震わせた。「お、お兄さん、落ち着いてください。私はあなたと何の恨みもありません。上には年老いた親、下には小さな子供がいます。私に何かあれば家族全員が困ります！頼むから、逃がしてくれ…」
近くの警察もすぐに美桜を制止した。「危険です！関係者のない方は直ちに退避してください！」
美桜は素直に立ち止まり、哲也に向かって叫んだ。「ちょっと、怖がらないで。私はあなたが人を殺すのを止めに来たんじゃない。あなたの仲間に入りたいんです。」
!!!!!
この言葉に、その場にいた全員が凍りついた。
聞いてくれ、これはまともな人間のセリフか？！
通行人の中には、美桜を見る目に怒りと軽蔑を浮かべる者もいた。
まさか共犯者なのか？！
誰かがスマホを高く掲げ、カメラを美桜に向けた。
包丁を持った哲也でさえ一瞬固まり、十メートルほど離れたその女をまじまじと見つめながら言った。「…は？」
「あなたの仲間に入りたいんです」美桜は涙を拭うように目元に手をやり、弱々しい姿を見せた。「私、ついさっき退院したばかりで…末期がんなの。もう生きる望みもないし、どこで死のうかずっと悩んでたところなの。だから…私を人質にしてください。」
「私は幼い頃から家族がいなくて、戸籍上の家族もみんないなくなった。今はこの病気になって、もう生きる気力もない。あなたは逃げたいんでしょ？見てよ、あの人は絶対に協力しないだろうけど、私は喜んで協力する。」
「あなたの逃亡を手伝う。あなたが無事に逃げ切ったら、そのお祝いに私を殺してくれませんか？」
美桜は最も従順な口調で、自分自身に対する最も残酷な提案を語った。
彼女の風貌には人を欺く要素があった。病院の患者服を着て、一ヶ月以上も昏睡状態で点滴で命をつないでいたため、顔は小さく痩せこけ、服もだぶだぶで、彼女の言葉に信頼性を与えていた。
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