Kapitel 5: 第5章

眉間に貼られた絆創膏から血が滲み出ていた。

現場は混乱し、無数の悲鳴が広がり、さらに誰かが叫んだ。「何をやってるんだ！今日は桐山社長が彼女を紹介する良い日じゃないのか！」

「お前ら誰だ！」

「桐山社長に銃を向けるなんて、死にたいのか！」

「横浜中、桐山家が仕切ってるって知らないのか！」恭弥の尻馬に乗る手先がいつも現れる。「気をつけろ、お前の犬の命など十本あっても足りないぞ！」

その男がステージ上の人を指して罵る動きが止まり、眼球が飛び出しそうになり、そして悲鳴が宴会場全体に響き渡った。

短剣が男の腕に刺さり、男の動きと共にぴたりと宙に固まっていた。

鮮血がぽたり、ぽたり。

死神の音だ。

男は震えながら下半身から液体を漏らし、叫んだ。「詩織、篠原詩織だ」

私は舞台裏から表に出て、恭弥の眉間に銃を突きつける男と、恭弥の怒り狂った顔を見ながら、手の中の短剣を回して笑いながら恭弥に尋ねた。

「桐山恭弥」

「南星諸島の小島は美しかった？」私は短剣の冷たい刃先を持ちながら恭弥を見つめた。「キョウミ、聞いてみれば、それらしい名前ね」

「あと、大粒のダイヤも」

短剣の先が葉山美秋に向けられた。

ずっと陰鬱な顔で黙っていた恭弥はついに我慢できなくなり、私に向かって叫んだ。

「詩織、また何を狂ったことを！」

「こんな連中を連れてきて何のつもり！俺と争って共倒れになるつもりか？」

恭弥はまだ私が嫉妬していると思っている。

「お前のそういうところが我慢ならないんだ。お前のどこが女らしいんだ？女は男に寄り添うものなのに、お前だけは毎日暴れ回って何様のつもりだ！」

恭弥の非難を聞きながら、私は気づいた。もう彼のせいで激しく気持ちが揺れ動くことはないと。恭弥の冷ややかな嘲笑に対しても、心は死んだ水のように静かだった。

「詩織！」

恭弥は私の沈黙を、彼の言葉が的中したと思い込んでいる。

「俺はお前を責めたりしない。だがこれ以上騒ぎ続けるなら、旧情を捨てることになるぞ」

葉山美秋はバスローブを着て、ベッドに座り、毒のある笑みを浮かべていた。その笑みは画面を通して私の肌に染みつき、神経を伝って血管を這い上がった。

「なぜ恭弥があなたじゃなく私を愛しているのか知ってる？」

「詩織」

美秋は画面に近づき、声は小さいが、私の魂を震わせるほどだった。