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Kapitel 12: 害獣退治

 ゴブリンたちは武装していた。半裸、ズボンははいている。皮のベルトを防具代わりに体に巻きつけたり、または兜を被っている者もいた。

 武器は粗末な石の槍や斧。だが剣だけは、そこそこ作りがよく、自前で作ったというより殺した人間から奪ったものを使っている印象があった。

 砦の廃材や大岩を避けて、散開しつつゴブリンたちは進む。警戒しながらの移動であり、トールの目には、軍隊における偵察分隊の動きに見えた。

 ――たまたまやってきた、という風にも見えないな。

 動物が入り込んでいないか狩りにきたか、砦に何者かが入った気配を察知して――つまりトールとブランを探しにきたか。

 ――何にせよ、殺す。

 仮にゴブリンがトールを見つけたら、たちまち仲間を集めて殺しにくる。やるかやられるか。お互い様である。

 一定の距離まで近づくと、岩陰に身をひそめる。後は向こうからやってくるのを待つ。音を立てず、息を殺し――

 すっ、と臭いを嗅ぐ音がした。ゴブリンが豚のように鼻を鳴らして嗅いでいるのはつまり、こちらの体臭に気づいた。

「くそっ」

 低く毒づき、トールは飛び出した。ブランの用意したショートソードを一閃。ゴブリンの頭が飛んだ。

 まず一体。飛んだ頭が地面に落ちた音が辺りに聞こえた。他のゴブリンたちもその音に動きを止めて、何事かを探る。

 トールは身を低くして、音を立てず留まる。本当は音がした方に敵が注意を払うから、この場からすぐに離れたくなる。だがゴブリンもまた耳をすませているところだから、動けばそれを気づかれてしまう。

 足音が近づく。ゴブリンが二体。何の音か確かめにきたのだ。そこで仲間の死体を見つければ、たちまち通報。周りの全ゴブリンが駆けつける。

 奇襲は次で終わり。後は乱戦だ。少数対多数というゴブリンの得意シチュエーションだが仕方がない。

 トールはそっと手を伸ばし、落ちているゴブリンの武器を拾うと、遠くへ放り投げた。一番近くにきたゴブリンが、突然目の前を飛んでいった何かを目で追った。

 ――前がお留守だ!


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