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1.79% 離婚後、国民的嫌われ者の私がバラエティで無双する / Chapter 3: 整形でも作れない顔立ち

Kapitel 3: 整形でも作れない顔立ち

Redakteur: Pactera-novel

【誰も思わない?この人、すっぴん美人すぎない?正直に言うけど、国内トップの美貌って言われる池田梨々香と比べても全然負けてないでしょ】

【アンチ姐のサクラ部隊、恥知らずすぎ。梨々香様と比べるなんて百年早いわ】

【アンチ姐の性格はクズでも、この顔だけは否定できないな。下手な若手女優なんか足元にも及ばない】

【……】

元の早森詩織は普段、配信ではいわゆる「インフルエンサー風メイク」──太めの眉、大きな目、鼻筋を強調して、派手にカールしたまつ毛。確かに映えるが、見慣れると正直食傷気味になる。

そこに加えて、彼女には黒歴史まみれの噂が多すぎて、偏見で「どうせ美顔フィルターを外せば大したことない」と決めつけられていた。

中には「素顔はババみたいな中年なんじゃない?」なんて言う人もいたくらいだ。

制作側も今回のサプライズ突撃で、彼女のボロを出し、みっともない素顔を切り取ってネタにするつもりだった。

だが予想外にも──早森詩織の素顔は耐性どころか、アップで撮っても粗が出ないレベル。

それはもう、視聴者の目にクリティカルヒットだった。

午前四時五時といえば、普通なら寝ている時間。それでも徹夜の視聴者は多く、今「コントラスト」の配信ルームは彼女のすっぴん話題で大荒れ状態。

『対照組』放送開始直後にもかかわらず、ツイッターのトレンドには次々と関連ワードが浮上した。

#早森詩織すっぴん#

#早森詩織の真の顔#

#すっぴんショック#

#早森詩織VS池田梨々香#

#早森詩織素顔圧勝#

……

『対照組』は例によって、当日まで出演者が明かされない形式。

しかも出演者ごとに同時配信ルームがあり、それぞれの視点で放送される仕組みだ。

【最悪!私の楓がアンチ姐と同じ番組に出るなんて……マナ、気を付けて!利用されないでね!】

【アンチ姐、黒歴史売りじゃもう稼げないと悟って、今度は美貌で売り出す気?梨々香様に並ぶなんて厚顔無恥】

【素顔で梨々香を圧倒?本当に厚かましいわ】

【「かえでファン」の皆さん、心配するな。うちの楓と比べられるわけがない。どうせ自滅するだけ】

【同感!笑い話を見に行こ】

早森詩織自身は、自分が朝の数分の出演だけでトレンド入りしているとは夢にも思っていなかった。しかも大半は罵声混じり。

「寄生姉」「アンチ女」──次から次へとあだ名をつけられていた。

『対照組』という番組は、という番組は、他の人気バラエティとは毛色が違う。

農村体験、恋愛企画、旅行、スポーツ……

そういった要素を毎回ミックスし、ゲストがどう立ち回るかを「比較」させるのが売りだ。

さらに放送中にはリアルタイム投票が開放され、好印象を残したゲストに視聴者が票を投じる。

最後は「芸能人組」と「ネットタレント組」で合算し、勝敗を決め、次回の賞罰へと繋がる仕組み。

【言うまでもなく楓が一番!家族総出で投票するわ!】

【私の推し・瑞希姫は「スイートソングプリンセス」。同じ事務所のアンチ姐なんか足元にも及ばない。私は絶対、瑞希姫に入れる!】

【俺は最優秀男優の石川一択。主演映画全部見てるから!】

【清水瑠奈ファンの瑠奈応援団が来ました〜】

【アンチ姐が0票で最下位になる未来がもう見える、楽しみ~w】

【……】

元々『対照組』は超人気番組。新シーズンの期待度も高かった上に、

今回わざわざ黒歴史塗れのネットタレントを放り込んだおかげで、開幕から炎上級の熱量を獲得していた。

これこそが、詩織がネット全体から嫌われているにもかかわらず、番組側が彼女を招待する理由だった。

そう──炎上もまた、話題性のうちなのだ。

収録の集合場所は空港近くの五つ星ホテル。

番組側はワンフロアを貸し切り、出演者の控室にしていた。

元宮廷医者として鍛えられた早森詩織は、時間にきっちりしている。指定の集合時刻より十分早く到着した。

部屋にはスタッフしかおらず、出演者はまだ誰も来ていない。

彼女が先に入ってくると、スタッフたちは驚きつつも顔を上げた。

「おはようございます」

詩織は礼儀正しく挨拶し、キャリーバッグを引きながら、空いた席に腰を下ろした。

その場にいた女性スタッフ二人は、先ほどの突撃撮影にも同行していた面々だ。すでに「すっぴんショック」を食らっていたとはいえ、近くで見るとどうしても目を奪われてしまう。

悔しいけど、本当に綺麗。整形でもこんな顔は作れない。

「お、おはようございます……」

年下のスタッフは、頬を赤く染めて声をかけた。

「詩織さん、少し時間がありますので、ここでお待ちくださいね。」

「はい、わかりました」

彼女がソファに座ると、二人はどうしても視線を外せない。まるで毛穴一つでも探し出そうと必死に見つめていた。

詩織は視線に気づき、ふと横目で見やる。バレたと感じたスタッフは慌てて目を逸らし、気まずそうに笑った。

ただ、カメラは詩織しか映していなかったので、配信の視聴者はそのやり取りを見ていない。

「何かご用ですか?」と詩織が微笑んで尋ねると──

年下のスタッフはさらに赤くなり、「詩織さん、お肌すごく綺麗ですね。どうやってケアしてるんですか?毛穴が全然見えないなんて、羨ましいです!」と素直に口にした。

思いがけない褒め言葉に、詩織は少し黙り込む。

彼女が生きていた時代では「美しい」と褒めることはあっても、こんなふうに尋ねられることはなかった。

元の詩織は生まれついての美貌の持ち主で、確かにスキンケア製品も使用していたが、多くの有名人も使っているもので、特別なものではなかった。

つまり、肌が綺麗なのは、ただの生まれつきだから。

数秒の沈黙の後、彼女は正直に答えた。

「生まれつきです」

この一言が、まさか配信ルームの視聴者を総崩れにさせるとは、彼女自身まだ知らなかった。


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