Capítulo 4: 4、回復の勇者
一方では。
星も月もない漆黒の空間の中。
「凡人よ、我はこの世界の管理者、神霊カフニなり」
金色の短髪の男が石の椅子に無造作に座り、片手で顎を支えながら、下方にいる林達を見下ろした。
「少年よ、勇者となり、魔王を倒し、大陸を覆うすべての邪悪を浄化せよ！」
「何だって？」
最初、林達はかなり興奮していた。自分の特殊能力がついに手に入ったと思ったのだ。
「魔王」という言葉を聞いた瞬間、彼の表情は一気に崩れた。
周知の通り。
秘境大陸は高難度のファンタジーアドベンチャーゲームであり、プレイヤーのメインクエストは世界樹の秘境を攻略し、勇者の剣を手に入れ、最終魔王を倒すことだ。
ゲームの中ならまだしも、100級の魔王もたかが知れている。
数ヶ月間ひたすらレベル上げをし、二万元ほど課金すれば、魔王に勝つのはそう難しくない。
林達のようなプロプレイヤーなら、無課金でクリアすることさえできる。
しかし、現実ではどうだろう？
100級？
林達が住む白鳩市、この百万人口を抱える大型魔法都市でさえ、40級の者は見つからない。
リアの雪雁冒険隊の平均レベルはたった20だが、それでも白鳩市の有名な隊だ。
現在、人類最強の冒険者でさえ、70級に達していない。
つまり、100級の魔王を倒すなど、まったく不可能なのだ！
林達は真剣な表情で金髪の男を見つめ、言った。「魔王を倒すなんて、やはりもっと能力のある人に任せるべきでしょう？私のような凡人は、ただ安定して家を買って結婚したいだけです。思い切って大金をくれて、私を解放してください」
カフニと名乗る金髪の神霊は腕を組み、傲慢に首を振った。「それは無理だな。神界のルールによると、ここに来た者は必ず勇者にならなければならない。さもなければ、永遠にここに留まることになる」
「それって勇者になることを強制しているじゃないですか？勇者になっても何もしなければ、あなたも困るでしょう？」
林達は愕然とした。
「俺だって望んでいるわけじゃないんだ。これは上の偉い人が作ったルールだ。そうでなければ、なぜ本神がお前のような男を選ぶ？美少女を勇者にした方が、良くないか？」
カフニは恥ずかしさと怒りで石椅子から立ち上がり、威厳に満ちた尊敬すべき雰囲気は完全に消え去った。
「このアリンコ同然の凡人が、神を軽んじるな！勇者になることに交渉の余地はない！世界を救うという実績を達成できなければ罰を受けることになるのだ。本神がお前のような凡人と口を利くのも、そのためだ！」
「だから...わかっただろう？魔王を討伐する気がないなら、本神がお前を解放することはできない！」
林達は頭を抱えた。
やっとリアから離れて自由な生活を楽しもうとしていたのに、今度は勇者になって魔王を討伐し、世界を救えと強制される？
課金もできないし、チートも使えない。
せめて巨乳の女神が自分を助けてくれるならまだしも、小説によくある性格の悪い男の駒としか...。
何という話だ。
林達は長考の末、仕方なく言った。「じゃあ勇者になる代わりに、何か良いことをくれますか？」
「ふむ、見てみよう。第七版『神霊救世学生ハンドブック』によると、本神がお前に与えられる助けは三つある」
カフニは懐から小さな本を取り出し、高らかに読み上げた。「神霊が勇者に与えられる助けの一つ目、天選の勇者職を授け、全方位的に強化し、成長の可能性を高める。
二つ目、高品質の奇談級技能石一つ。だがこれは少し待つ必要がある。神界の宅配便がここに届くのに少なくとも一日かかる。
三つ目、勇者の願いによるカスタム技能一つ。本神が可能な限り作成を手伝う。
これが本神がお前に与えられるすべての助けだ」
「お前が来たときにはすでに転職は完了している。自分で確認してみるといい」
カフニは誇らしげに眉を上げ、林達の称賛を待っていた。
林達は半信半疑でパネルを開いた。勇者に転職したが、力が増したようには感じず、むしろ少し弱くなったような...
この世界では、誰も同時に二つの職業を持つことはできない。林達の元の職業は15級の癒術師で、勇者に転職すれば、癒術師のレベルは上書きされてしまう。
つまり、15級から0級に落ちるということだ。
これはまずい。もしリアに知られたら、笑いものになるに違いない。
しかし考え直してみると、林達は何か違和感を覚えた。0級になっても、15級の癒術師よりも少し弱くなっただけで、大きな差を感じなかった。
癒術師は戦闘能力が極めて低い職業だが、0級の勇者とあまり変わらないというのはおかしい。
林達は心の中で呟いた。「パネル表示」
前世のゲーム画面によく似た光のスクリーンが浮かび上がった。
最も目立つのは、職業欄の後ろに太陽のように輝く文字だった。
職業：【天選の回復勇者】
「これは？」
パネル上の属性を見て、林達は心が震えた。
彼はまだ癒術師だったが、0級の時はすべての属性値が10を超えず、弱点である力と防御はわずか5で、初期技能は治癒術だけだった。
しかし今、パネル上の数値はすべて二桁になっていた。
初期技能も多すぎて、1ページに収まりきらないほどだ。
林達は目を走らせ、パネル全体が目の前に広がった。
名前：林達
職業：天選の回復勇者
レベル：0
HP：200
魔力：13
力：13
防御：12
魔法防禦：17
敏捷性：11
耐性：なし
経験値：0/10（次のレベルまであと10ポイント必要）
固有技能—
天秤の均衡（奇談級）：あなたの力は常に魔力の数値と等しい
心の毒（奇談級）：毒系の治癒術を習得する
真実の目（奇談級）：自分と他者が与えるダメージ数値が見える
隠し技能—
万物を呑み込む（夢幻級）：魔物を倒すと神秘ポイントを獲得する
等価交換（夢幻級）：神秘ポイントを使って経験値や天賦、技能熟練度などと交換できる
……
回復勇者とは、六角形の平均型職業だったのか？
初期魔法防禦17は、魔法耐性タンクよりも高い。
林達は思わず興奮した。
元プロプレイヤーとして、彼は初期属性の重要性をよく理解していた。
初期属性は成長の可能性を表し、その高低が直接このアカウントが使えるか、メインとして活躍できるかを決める。
0級の時点で、パネル上の基本属性5項目の合計が50に達すれば、非常に優秀なレベルだ。
秘境大陸の現実では、それは天才と同等だ。
林達の以前の癒術師モデルは、5項目の属性合計がわずか37だった。
一方、回復勇者の5つの基本属性の合計は66。
初期HP値は200で、癒術師の2倍だ。
林達は太ももの柔らかい肉をつねり、夢を見ていないか確かめた。
回復勇者という職業は、HPと魔法防禦が非常に高く、回復もできる肉装ヒーラーだ。
前衛に守ってもらう必要もなく、自身が前衛になる！
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