解放の奴隷商人　　～純愛物を求める俺は、奴隷社会を全否定する

大学生の青木は12月31日の夜、初詣を親友と行く約束をして一人で年越しを過ごしていた。
忙しさにかまけてろくに買い出しをしてない為、カップラーメンすらストックを切らしており、渋々寒風の中、最寄りのコンビニに向かう途中、車の往来が無い事を確認してイケない事と思いつつ、つい赤信号無視をして歩道に足を踏みだしてしまった。
しかし、車が来るはずのない道路から、大型トラックが猛スピードで真っ直ぐ突っ込んで来た。
運転席で驚いた表情を見せる、ブロンドの美女の顔が印象的だったが直ぐに学の視界は暗くなる

気がついた時、青木の魂はすでに真っ白な空間に浮かび、目の前には、トラックを運転していた不注意すぎる女神ヘルスティアがいた。
女神ヘルスティアは年越しで急いでいた為、うっかり車のスピードを出しすぎて青木をはねてしまったことを謝罪。
女神は地球で青木を復活させることはできないが、自身の作った世界で幸福な生活を送れるようにするからと明らかに不自然にとってつけた様に告げる。

女神ヘルスティアは青木に自身の作りし世界で役に立つからと、レアな特殊能力「奴隷鑑定システム」等を与え、自身のつくりし世界ヘルスティアへと青木を転生させる

青木が「なぜ女神がトラックを運転して年越しに急いでいたのか」と突っ込む間もなく、彼の目の前は再び暗闇に包まれた。

次に目覚めた時、青木は豪華だが古びた大きなベッドに横たわっており、傍らには右腕に黒い蛇の刺青を持つエルフ族の少女がいた。
青木は少女から、自己が大奴隷商人オーウェルの息子ガークであること、唯一の肉親である父親は数日前にアルコールの大量摂取で急死した事、オーウェル家はギャンブル依存の父の為、全財産を失ったこと、かつては数百人いた奴隷商隊も今や売れ残った少女一人だけとなり、彼女が青木の生活の世話をしていることを知る。

その後、青木ことガークはオーウェル商会がすでに没落したにもかかわらず、エルフの少女が可能な限り青木の生活水準を維持しようとしていることに気づく。
リリィは見た目もボロボロの服を着ているにも関わらず、主である青木には立派な服を用意していた、ガークそんなリリィの姿を見て上流階級の華やかな衣装や立派な装飾品は今の自分には不要だとリリィを諭し、当面の金の工面の為処分する事を告げる

ガークは、渋るリリィを連れて市場に行き、高価な自身の服や装飾品だけで無く、立派な馬車と馬を手放して質素なロバ車に乗り換え、リリィのために普通の木綿の服を買った。
奴隷である自身に何かを買い与える等、あり得ない事だと、ガークのとった行動はリリィを驚かせた。

街中で見た奴隷の扱いに愕然とするガークは、愛読していた恋愛小説の様にリリィ達、奴隷をなんとか解放しようと決意する。
その助けになるであろうガークにだけ与えられた特殊能力「奴隷鑑定システム」

女神より得た「奴隷鑑定システム」を通じて、リリィが自分で言うような役立たずのエルフではなく、蛇神降霊の超SSRキャラクターであることを見抜いていた。

不当に扱われる、奴隷をただ食いつぶされるだけの家畜の様に扱う、奴隷商人や貴族達・・
ガークは「奴隷鑑定」により、彼女等の秘めた力を解放していく・・・

この世界でより幸せに生きるため、自分の理想とする純愛を追求のために、青木はリリィ達と共に奴隷商人の看板を掲げながら、奴隷少女たちを解放する長い旅を始めるのだった。