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翌日。
私が起きると、顔色の悪い高橋清一が病状悪化の診断書を私に手渡した。
「医者に言われたんだ。もう末期で、高額な治療費が必要だって」
「君のために新しい仕事を見つけたよ。報酬がとても高いんだ」
彼はそう言いながら、目をうろたえさせ、私の顔を見ることさえできなかった。
しばらくして、決心したかのように付け加えた。
「医者は約束してくれたんだ。これが最後の治療になるって。この化学療法が終われば、病気は完全に治るはずだ」
私はじっと清一を見つめた。
彼の嘘はあまりにも下手だった。
私たちは二人とも、これが死への旅路だということを分かっていた。
なのに、どうしてこんな嘘で私を騙そうとするのだろう。
私は頷いて、同意した。
私のほとんど冷淡とも言える態度を見て。
彼は少し我を失った。
彼は愛おしそうに私の頬を撫で、傷だらけの私の体を見つめ、その目には罪悪感が滲んでいた。
「これが終わったら、結婚しよう。海辺の別荘を買って、犬も飼って、二人の生活を始めるんだ」
最後の言葉を言い終える頃には、彼はまるで素晴らしい未来を思い描いているかのようだった。
顔中に憧れの笑みを浮かべていた。