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16.66% Mに捧げる異世界鎮魂歌 / Chapter 12: 第十二話 オーケーリーダー!

Capítulo 12: 第十二話 オーケーリーダー!

「ありえる。あいつら全員が薬中だからね。でも、普通に考えてあのへんてこりんなフルプレートアーマーが強いから依頼を受けてるんじゃないの?」

 

「まぁそれが妥当な考えだな。あの鎧野郎の強さを確認、その後にあの兜の下の素顔を見る。それでアオガラに報告すれば奴への恩も返せるだろう。目的は偵察だ! あいつらの後を付けながら戦闘の様子を見る。

 

 この遠距離にこちらは風下、流石にばれないだろうが先頭はサミでいく。分かっていると思うが細心の注意を払ってくれ。奴らはトレントを探しているが、このビャオイエジャの森にはトレント以外の魔物もいる、サミは奴らに注視し、俺たちはサミを守る。いいな?」

 

「「オーケーリーダー」」

 

 声を潜ませて声を合わせる二人。ノーウェルは歯を見せるとドラドと共に後方へと下がり辺りを見回し始めた。

 

 ※※※

 

 呪われた鎧武者が足を止め、はるか後方の茂みに視線を送る。しかし、一瞬視線を送るに留まりすぐに前を向きそのまま前へと歩き出す。

 

「どうしましたオーガルトさん?」

 

 オーガルトは黙ったまま歩む速度を落とすとコランダのすぐ横へと並ぶ。声のボリュームを下げ、鎧の隙間よりコランダへ声を掛ける。

 

「この先の魔物を退治する際もこの姿のままがいいんだよな?」

 

「ええ。何か不具合でも?」

 

「いや、特にない。要はこの世界の者に違和感を抱かせなければいいんだな?」

 

「はっ、はい。何か気になっていることがあればすぐに言ってくださいね。この先のジャイアントトレントにオーガルトさんが遅れをとるとは思いません。しかし、ジャイアントトレントに対し私と三太はあまりにも無力です。せいぜい補助しかできません。崇徳童子さんの能力に私達の知らない制限や弱点があるようでしたら話してください」

 

「そんなものはない。金を稼がなくては飯も食えない。要らぬ心配は考えなくて良い」

 

 崇徳童子が兜の中から不服そうに鼻息を漏らす。

 コランダは不安さそうに前を見ると気を取り直してこの先のジャイアントトレントの説明を始めた。

 

「ジャイアントトレントは通常であれば冒険者十人から十五人ほどで退治する魔物です。タンク役の重装備の者がトレントの足を止め、高火力の炎系の魔法で一気に攻撃するのが主流です。

 ただし、十人以上のパーティーを組むとなると金と労力がそれ相応にかかります。今回の報酬額とジャイアントトレントが相手ではとても割が良い仕事とは言えません。しかし、今回は三人、討伐にかける日程も一日、もし倒すことができれば一月は暮らせるだけの金が手に入るでしょう」

 

「ふん、問題ない。この先の気配を探りジャイアントトレントやらがどの程度の魔物かは把握している。俺に取っては街の兵士達と大差ない」

 

 コランダは崇徳童子と初めて出会った時を思い出していた。自分たちの全てを掛けて放った魔力で傷一つ付けられず、対峙してからは一瞬にして身体が拘束され瞬殺《きぜつ》させられた。並大抵の魔物ではオーガルトには敵わないであろう。

 

 しかし、オーガルトにはまだまだ未知の部分が多い。広範囲の魔法で自分達が巻き込まれれば即死だし、サポートするとはいえ、森に引火し、ビャオイエジャの森で森林火災などが起きてしまうのは厄介である。

 

「くれぐれも無茶はしないでくださいね」

 

「くどい」

 

 コランダは小さく頷くと、三太とオーガルトと共に森の獣道を進み始めた。

 

 獣道はかなり長く、茂みの中を通り抜けたり、沢を渡ったりと足下が悪い場所が多かった。魔術師の二人にはなかなかキツイ道のりであったが誰よりも重装備のはずのオーガルトは舗装された道路と変わりない速度で進んで行った。

 不幸中の幸いだったのはオーガルトのただならぬ気配を感じ取ったのか三人を襲う魔物に出会うことである。

 

「ハァハァ」

 

 崇徳童子が視線を送ると道の途中に座り込む三太。頑なに外すことのなかったフードを外すと肩口まで伸びた青髪が姿を現していた。

 

「おまえ、女だったのか……」

 

「――今まで何だと思ってたんですか?」


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