真紅の聖炎が急に爆発し、方々百メートルの霧を蒸発させ、空気まで焼かれて歪んだ。
輝の驚愕の目の中、一つの絶世の美しさを持つ姿が炎の中からゆっくりと昇った。
聖炎に燃える四枚の翼が完全に広がり、一枚一枚の羽が煌めく金色の神紋を湛えていた。
瑠華の本来清らかな瞳は今や燃える金色の縦瞳に変わり、まるで神話から歩み出た炎の女帝のようだった。
この神聖な威圧の下、谷全体の空気が凍りついたかのようだった。
「ウゥー」
三匹の覚醒四階の魔獣が悲鳴を上げ、恐怖のあまり頭を深く土に埋めた。
嗜血虎は覚醒五階とはいえ、瑠華の威圧を正面から受け、その状態も大して良くなかった。
その突進が突然止まり、巨大な体が不気味に空中に静止した。
その真っ赤な獣の瞳が激しく収縮し、その魂を震わせる姿を映し出していた。
「班、班長、これは御し獣なの?」
隊の中で最年少のメンバーが震える声で呟いた。
冬華は無意識に両手を握りしめ、力を入れすぎて関節が白くなっていた。
彼女は口を開いたが、喉が乾いて痛かった。
「た……たぶんね……」
そんな言い方は彼女自身も受け入れられなかったが。
初心者試練空間の中には、彼らのような新人御し獣師と魔獣しかいない。
あの神聖な姿が後者でないことは明らかだった……
するとありえないような可能性しか残されていない!
彼女は御し獣だ!
新人御し獣師の御し獣だ!
皆の驚愕の目の中、瑠華の金色の縦瞳が冷たく地に伏せる魔獣の群れを見渡した。
彼女の手の聖剣がただ軽く振られると……
三筋の真紅の剣光が虚空を切り裂き、三匹の覚醒四階の魔獣は悲鳴を上げる間もなく、巨大な体が整然と二つに裂けた。
切断面から聖なる炎が燃え上がり、残った体を瞬時に灰に変えた。
「ガオォー!」
嗜血虎は絶望的な咆哮を上げ、全身から最後の猛々しさを爆発させた。
瑠華はただ軽く剣を持ち上げた。
「シュッ!」
聖剣が通った軌跡は空気中に灼熱の残像を残した。
嗜血虎の誇りとする硬い体は、伝説級御し獣の力の前では薄紙のようだった。
その瞳孔はまだ恐怖で固まったままだが、体はすでに滑らかな切断面に沿ってゆっくりと滑り落ちた。
「ゴォン」
バスケットボールほどの大きさの青い光の球が嗜血虎の残骸から浮かび上がり、ゆっくりと瑠華の眉間に消えていった。
最後の聖炎が空気中に消えると、彼女の周りの金色の神紋が潮のように引き、四枚の燃える翼が星の粒子となって散った。
元々空中に浮かんでいた姿がそっと地に降り立ったが、その足取りは明らかに少し不安定になっていた。
「熾天使形態」は彼女の属性を大幅に上げられるが、その消耗も恐ろしいほど激しかった。
瑠華の覚醒四階のレベルでは、全力を尽くしても30秒ほどしか持たなかった。
危険がないことを確認すると、瑠華は少し頭を傾け、視線を近くの影の方へ向けた。
冬華たちは思わず息を止め、視線を瑠華と一緒に動かした。
こんなに強力な御し獣を持つ御し獣師は、どんな人なのだろう?
しかし、あの見慣れた姿が影から出てきたとき、全員が固まった。
「斉藤輝?!」
冬華の瞳孔が急に縮み、声が無意識に大きくなった。
御し獣3班の班長として、彼女はもちろんこの普段は目立たないクラスメートを知っていた。
つい最近、このクラスメートの御し獣が奪われたと聞いて、当時彼女は憤っていた。
でも今は……
冬華の視線が輝と瑠華の間を行ったり来たりし、頭がほぼ働かなくなっていた。
輝が近づいてきて、瑠華が救ったのが知人たちだと初めて気づいた。
「よう、班長、偶然だな!」
「ぐ……偶然!」
冬華は機械的に答えた。
普段は目立たない学生が、今や五階魔獣を一撃で倒す伝説級御し獣を従えている。
その違和感の強さに彼女のこめかみがズキズキと痛んだ。
輝は礼儀正しくうなずき、瑠華に立ち去るよう合図した。
残り時間はもう30分もなかった。
彼は最後の時間を使って瑠華のレベルを覚醒5階まで上げなければならなかった。
瑠華は素直について行き、去る前に皆にそっとお辞儀をした——
このしぐさに小隊のメンバー全員が息を呑んだ。
輝の姿が霧の中に消えると、隊員たちはすぐに沸き立った。
「やべぇ!班長見た?あの御し獣がお辞儀をした時、俺ひざまずくかと思った!」
「輝って御し獣奪われたんじゃなかったっけ?なんで今の方が強くなってるの?」
「マジで、田中昭彦が奪ったあの史詩級の御し獣と、この子は比べものにならないよ」
「じゃあ……十日後の試験で輝と当たったら……」ある隊員が弱々しく言った。
「すぐ降参!」
五人が口を揃えた!
……
城主府。
夏目聡は恭しく脇に立ち、目に少し落ち着かない様子を見せていた。
彼の前には、紺色の中山服を着た中年の男性が両手を背中で組んで立っていた。
男性の口元には薄い笑みを浮かべていたが、それでも大広間全体が無形の威圧感に包まれていた。
彼こそが南部军区全体の責任者、本当のトップ、渡辺深だった!
「渡、渡辺長官、なぜ直接いらっしゃったのですか?」
深は振り向き、視線が少しの間聡の上に留まった。
かつて彼の下で苦労した若い兵士が、今や一城の主となっていた。
「ちょうど嵐陽城から来たところだ。彼らは今年A級の潜在能力を持つ若者を出した。まあまあだな」
そう言いながらも、聡は鋭く、深の目の底に失望の色が閃いたことに気がついた。
南部军区の最高責任者として、深が今回自ら各都市を視察しているのは、明らかに真の一流人材を探しているからだった。
どうやら、彼は今のところ何も見つけられていないようだった。
「渡辺長官、我々臨淵城の今年の状況は、嵐陽城とさほど変わらないかと」
試練が始まる前、彼はすべての参加者の情報を詳しく調べるよう命じていた。
田中家のあの若造が史詩級サキュバスと契約したことを除けば、他の者の御し獣の資質は……
どれも言葉に詰まるものだった。
深は軽くため息をつき、眉間に失望の色を隠せなかった。
「まあいい、御し獣の召喚は結局天意次第だ。強いても仕方がない」
彼は衣服を整えた。「他の都市も見てみるとしよう」
「お送りします……」
聡がちょうど見送ろうとしたとき、城主の助手が慌てて飛び込んできた。
「何という態度だ!」
聡は顔色を曇らせた。元上司の前で礼を失ったことが彼を非常に当惑させた。
「普段どう教えているんだ?冷静さを保て!」
助手はやっとその大物の存在に気づき、冷や汗をかいた。
しかし彼は構っていられず、興奮で声を震わせた。
「城主!我々の臨淵城に……S級潜在能力の学生が現れました!」
「なんだと!」
聡の声が突然上がり、静かな城主府に響き渡った。
さっきまで平然としていた渡辺までが急に振り向き、驚きの視線を投げかけた。
……
……