全てを奪われた後、彼女は頂点に立ち返る

目を覚ますと、司馬詩織は運気を奪われただけでなく、芸能界からの追放を全ネット上から求められていた。
二度目の人生ではのんびり過ごすつもりだったのに、目の見えない連中が彼女を踏み台にし、引きずり落とそうとしてくる。
「実力もないくせによくそんなことができるわね。じゃあ、片付けさせてもらうわ」――司馬詩織は手首の包帯を締め直して、動き出した。
その後、ネットでは彼女が「身の程知らずに小川曜にすり寄っている」と炎上し、「私生活が乱れている」と誹謗中傷されたが――
国際天皇后：「私が今日ここに立っているのは、詩織さんのおかげです」
トップ男性アイドル：「俺の妹に手を出すな、@小川曜」
国際スポーツ大会公式：「司馬詩織、個人で13個目の金メダルを獲得。引退は時間の問題」
当初、小川曜は司馬詩織を軽蔑していた。だが真実を知った後、彼は後悔に駆られて跪き、ぜひ一目会いたいと懇願した。しかし彼にできたのは微博の更新だけだった――
「@司馬詩織、九叔母さん、ご機嫌よう」
その日、ネットは崩壊した。
史書には、聖皇は若くして功績を成し、完璧かつ強大で、天下を憂うる君主であったと記されている。しかし二十七歳で病に倒れ、妻も側室も子孫も残さなかった。多くの人々が憧れる存在であった。
誰にも知られていないことだが、彼が再び目を開けたのは千五百年後の世界――まさに彼が夢見てやまなかった、繁栄極まる大夏だった。
やがて聖皇の正体が明らかになると、司馬詩織は、自分が憧れてやまないアイドルがすぐそばにいることを知る。敬慕の念を込めて、彼女は叫んだ――
司馬詩織：「これからも頑張ります！」
聖皇：「では、私のすべてをもって、あなたに報いよう」
司馬詩織：「？？？」
私は一生懸命仕事をしているのに、あなたは私を「欲しい」と言うの？