Kabanata 3: 『種生訣』
May-akda: Pactera-novel
鄭確は顔色を変え、硬直したまま頭を回すと、ベッドの足元に真っ赤な人影が真っ直ぐに立っているのが見えた。
その人影は人間に似ていたが、皮膚が一切なく、うごめく肉、血管、骨格……すべてが露出し、濃厚な血の臭いを放っていた。
これは明らかに人皮のない生きた屍体だった！
これは……
相手はどうやって自分を見つけたのか？
鄭確は一瞬全身が硬直した。しかしその時、すぐそばにいたその生きた屍体が、突然彼の動きを真似て、ベッドから降りた。
「弟子よ！ついに出てきたな！」
「はははは！はははははは！！！」
「弟子よ、師匠はお前を食らうぞ！」
あの聞き慣れた声が、再び響き渡った。
次の瞬間……
ガリッ！
ベッドから降りたばかりの生きた屍体の頭が、何かに噛まれて半分噛みちぎられた！
灰白色の脳みそと濁った血が、残った頭蓋骨から流れ落ち、ぽたぽたと床に滴り落ちる。屍体は痛みを全く感じない様子で、歩き続けた。
ガリッ……ガリッ……ガリッ……
鮮明な咀嚼音とともに、屍体の全身にさまざまな噛み跡が急速に現れた。
屍体は何の反応も示さず、ますます早く歩き、ドアに到達する頃には体の一部が消失し、多くの骨が折れ、バランスを失って床に倒れたが、残った手足でもがきながらドアを開けようとした。
キィ！
ついに屍体はドアを開け、よろめきながら這い出した。
ドアの外の石畳では肉体が擦れる鈍い音が響き、次第に遠ざかっていった。以前にベッドの周りを回っていた足音も、それに伴ってどんどん遠ざかっていった。
部屋に漂っていた消えない冷気が、一瞬にして消え去ったようだった。
その光景を見て、鄭確は思わず呆然としたが、すぐに我に返った。先ほどの屍体は、自分の命を救ったのだ！
あの屍体は、おそらく本当の師匠が送ってきたものだろう！
そう思うと、彼は時間を無駄にする余裕はなかった。すぐにベッドから飛び起き、部屋を見渡した。
床は散らかり放題で、落ちて壊れた家具や道具があちこちに転がっていたが、鄭確は片付ける余裕もなく、外衣を軽く整えると、足早に玄関から出た。
外では徐々に明るくなる空の下、近隣は静まり返り、近くにも遠くにも煙の痕跡はほとんど見えず、幾重もの塀の向こうから、どこからともなく力のない鶏の鳴き声や犬の吠え声だけが聞こえてきた。
遠くない空き地では、昨日の夕方に見かけたあの子どもたちがまだ集まっていて、何かを楽しそうに話し合っていた。
鄭確は注意深くそれらの子供たちを避け、足早に歩を進め、廃寺へと向かった。
しばらくして、彼は再び廃寺の前に到着した。この時間帯、壁の中の枯れ木の影は門の敷居には落ちていなかった。
鄭確は注意深く観察し、門やその周辺に異常がないことを確認してから中に入り、荒廃した中庭を通って寺の中に入った。
ここは昨日去った時と変わりなく、灰色の道袍を着た老人が神殿の前の座布団に座り、目を閉じ、無表情だった。
黒ずんだ棺が隅に横たわり、冷たく恐ろしい気配を放っていた。
鄭確は早足で近づき、非常に敬意を持って腰を曲げて挨拶をした。「弟子の鄭確、師匠にお目にかかります！」
言葉を聞いて、曲道人はゆっくりと目を開き、彼を一瞥して静かに言った。「凡人が道に入るには、皆命の劫がある」
「昨夜の『呼び声の怪』は、お前の命の劫だった」
「それはまた、お前の入門の試練でもある」
「先ほど、師匠は屍人形を使って、あの『呼び声の怪』を引き離した」
「しかし、それは一時的なものにすぎない」
「各々の命の劫は、自らが乗り越えねばならぬ」
ここまで言うと、彼は手を上げ、鄭確に向かって軽く指を差した。
次の瞬間、濃密な紫の光が一瞬輝いて、鄭確の眉間に吸い込まれた。
鄭確は突然頭の中で「ウン」という音を感じ、激しい痛みが襲ってきた。同時に、彼の脳裏には突如として大量の見知らぬ文字が現れた！
「大道五十、天は四十九を衍べる」
「今から師匠はここに四十九の時刻しか留まれぬ。その間、お前がどれだけ学べるかは、お前自身の天分次第だ」
「これが『種生訣』だ、速成法の一つだ」
「お前は今すぐにこの功法を修練できる」
「生き延びるためには、今夜日が暮れる前に道に入らねばならない」
「『呼び声の怪』は、今夜またお前を探しに来る」
「我々は師弟ではあるが、この因果は師匠がお前を一度だけ助けるに足る程度だ。二度目はないぞ！」
曲道人の冷たい声が、鄭確の耳に届いた。
聞いているうちに、鄭確はすぐに冷静さを取り戻した。
先ほど突然現れた屍体は、確かに師匠が彼を救うために送ったものだった！
師匠の言葉から察するに、彼の命を狙うそのものは「呼び声の怪」と呼ばれ、今夜も彼を探しに来るという。
太陽が沈む前に道に入らなければ、生き残る可能性はない……
そう考えると、鄭確はすぐに曲道人に向かって再び礼をして、真剣に言った。「師匠、法を授けて下さりありがとうございます！」
曲道人は軽く頷いた。
それを見て、鄭確はすぐに脳裏に現れたこの功法の研究を始めた。
『種生訣』の第一歩は、天地霊気を感じ取り、気を引き込み体内に納め、気海を開き、気海に根源の霊気を一筋蓄えることで、練気期の修士となることだった。
功法の説明によると、この世界の修士の境界は、低いものから高いものへ、練気期、築基期、結丹期、元嬰期……と区分されていた。
そのうち練気期は、一層から九層まで、九つの小さな境界に分けられていた。
築基期以降の境界は、前期、中期、後期の三つの小さな境界に分けられていた。
この『種生訣』は凡人を道に導き、練気期から築基期まで修練させることができるものだった。
鄭確は功法を確認しながら、修練に関するいくつかの質問をし、曲道人はそのすべてに一つずつ丁寧に答えた。
すぐに鄭確は基本的にどのように修練すべきかを理解し、脇の空き地に座り込み、目を閉じ、心の中で功法の口訣を唱え、、全精神を傾けて功法中で述べる天地の霊気を感応し始めた……功法が述べる天地霊気を全神経を集中して感じ取り始めた……
次第に、彼は周囲の温度が急速に下がっているのを感じた。神殿、寺、小さな庭……そして師匠も、すべてが薄れていくようであり、自分はまるで虚無の中にいるかのようだった。上下四方すべてが灰色のもやがかかった気で満たされており、これらの気は澄んで活発で、彼に大きな引力を持っているように思えた。
しかし、灰色がかった気配の中には、細く絡み合う寒気が混じっていた。それはひんやりとした気流で、水中の浮遊生物のように、漂いながら、天地に充満していた。
先ほどの師匠の説明によれば、これらの冷たい気流が、霊気の一形態だという。
しかし、この世界では輪廻が存在せず、亡霊が人間界に留まるため、世間に陰気が濃厚で、そのため、天地霊気の中には濃い陰気が混ざっていた。
霊気は修為と力を高め、一方陰気は心神と陽壽に影響を与える。
天地に問題が生じたため、霊気と陰気は一体となり、この世界の修士は修練する際に霊気と陰気を一緒に摂取するしかなかった。
そのため、修為が高ければ高いほど、体内に蓄積される陰気も多く、往々にして心性も正常ではなくなっていく……
そう考えながら、鄭確はすぐに口訣を通じて、感じ取ったそれらの霊気から糸のように細い気流を切り取り、自分の体内に引き込んでいった……
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