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28.57% 冷酷な夫に「妊娠した」と告げたら / Chapter 4: 第4話:決裂の宣言

Kabanata 4: 第4話:決裂の宣言

第4話:決裂の宣言

[雪乃の視点]

玲司の表情を見た瞬間、私の心は氷のように冷えた。

困惑。戸惑い。そして、明らかな拒絶。

夫の顔に浮かんだのは、喜びではなかった。

「おめでとう、とは言わないのね」

私の声は震えていた。

玲司は答えない。ただ、私の腹部を見つめ続けている。まるで、そこに宿った命が邪魔な存在であるかのように。

病院の廊下に、重い沈黙が流れた。

「玲司」

私は夫の名前を呼んだ。

「この子を、望んでいないの?」

玲司の視線が私の顔に戻る。その目に宿っているのは、愛ではなく、明らかな困惑だった。

「雪乃……今はそんな時期じゃない」

時期?

「どんな時期なら良いの?」

私の声が高くなる。

玲司は答えない。代わりに、ポケットからタバコを取り出した。

「ここは病院よ」

私が指摘すると、玲司は舌打ちをしてタバコをしまった。でも、その仕草が全てを物語っていた。

この男は、私の妊娠を心から喜んでいない。

「玲司、正直に言って」

私は一歩近づいた。

「この子を、本当に望んでいるの?」

長い沈黙の後、玲司はゆっくりと口を開いた。

「樹が嫉妬する」

何?

「樹はまだ五歳だ。新しい兄弟ができることを理解できない。混乱するだろう」

私の耳が鳴った。

樹のことを心配している?私たちの子供よりも、沙耶の息子を?

「それが理由?」

私の声は震えていた。

「樹が嫉妬するから、私たちの子供は要らないって言うの?」

玲司は顔をそむけた。その仕草が、私の心を完全に砕いた。

「この子を……」

玲司の声が小さくなる。

「この子を……堕そう」

耳が鳴り、大脳が一瞬真っ白になった。

堕そう?

私の子供を、殺せと言うのか?

「何て言ったの?」

私の声は震えていた。

「もう一度言って」

玲司は私の目を見ることができずにいた。

「この状況では、子供を産むのは現実的じゃない」

現実的?

私の子供の命が、現実的かどうかの問題だというのか?

涙が頬を伝った。でも、それは悲しみの涙ではなかった。

怒りの涙だった。

「もし私が拒否したら?」

私は玲司を見つめた。

「もし私が、この子を産むと言ったら、どうするの?」

玲司の表情が硬くなった。

「従ってくれ」

従え?

まるで命令するように。

その瞬間、私の中で何かが完全に壊れた。

涙を拭い、私は微笑んだ。冷たく、静かな笑みを。

「わかったわ」

玲司の表情が少し和らぐ。

「ありがとう、雪乃。君なら理解してくれると――」

「あなたが私の子を殺そうとするなら」

私の声は氷のように冷たかった。

「私はあなたの樹を殺すわ」

玲司の顔が青ざめた。

「何を言っているんだ」

「同じことよ」

私は一歩前に出た。

「あなたが私の子供の命を奪うなら、私もあなたの大切な子供の命を奪う。公平でしょう?」

「雪乃!」

玲司が私の肩を掴んだ。

「お前は狂っている!」

「狂ったのは、あなたよ」

私は夫の手を振り払った。

「自分の妻の子供を殺そうとするなんて」

玲司の手が震えていた。そして、ゆっくりと手を振り上げる。

私を殴ろうとしているのか?

でも、その手は私の頬に触れる寸前で止まった。

玲司は拳を握りしめ、壁を殴った。

「どうしてお前はこんなに毒々しくなったんだ?」


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