六花達が次に向かった先は学園長室だった。学園長室に辿り着くには芝生とグラウンドを横断した先にある校舎に入らなければならない。広大な敷地ゆえに移動も楽ではない。
学園長室は白を基調とした内装で、所々に控えめな装飾が成されていて、とても清潔感が溢れ、落ち着いた空間となっている。部屋自体の広さも地球の公立高校の教室一つ分ほどで、広過ぎず、狭過ぎずで庶民的な六花も安堵の息を漏らしていた。学園長机と椅子の後ろは壁ではなく窓になっており、そこから芝生とグラウンドを見渡せるようになっている。他にも本棚の上には歴代学園長の肖像画が飾ってあり、どことなく地球の学校と似ている気がする。
六花はまた間抜け面を晒しながら室内を観察しようとしたが、サーニャからの物凄い圧と鋭い視線に顔を強張らせる羽目になった。
「ところでローゼ様。学園長先生はどこにいるんですか?」
そう。六花の言った通り、この室内で一際目立つ革張りの椅子には誰も座っていなかった。学園長机の上にも何か置手紙があるようには見えなかった。
「そうじゃな。学園長は多忙な身ゆえ、我のような皇族相手でも待たせてしまうことがしばしばある」
「それって大丈夫なんですか?」
「馬鹿者。ここは学びの園じゃぞ。ここでは地位による上下関係は確かにあるが、学園長やここで働く教職員に逆らうということは中立地帯『サンクタム』を敵に回すのと同じことなのじゃ。くれぐれも失礼のないようにな!」
「わ、分かりました」
六花はローゼの話を聞いて背中に悪寒のようなものが走り、一気に緊張してしまう。
六花の隣に並ぶサーニャはすっかり萎縮してしまった六花を見て、
「大丈夫。目上の人への敬意を忘れず、それ相応の態度で敬えばいいのよ。心配しなくともアンタはその辺ちゃんと出来てるわよ」
と言って六花の頭を優しく撫でる。
まるで姉に諭される弟のような光景がそこにはあった。そして、六花は姉たちの面影をサーニャに重ねていた。
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