緑茶系女子は超従順、禁欲的な獣使いが押さえつけて求愛する
May-akda: 江雲舟© WebNovel
Kabanata 1: グリーンティー・メスになってしまったらどうするか？
May-akda: Pactera-novel
「山本詩織、よくもふざけやがって！」
「警告しておく、私に近づくな」
「癒し師だからといって手を出せないと思うな。今日、俺に触れるならば、必ず殺してやる！」
氷のように冷たい男の声は、深い憎しみと殺意をまとって耳に響いた。
山本詩織はビクッと震え、心臓が恐怖で激しく鼓動した。
美しい琥珀色の瞳を開くと、目の前の光景に彼女は完全に呆然とした。
見れば、彼女の下には上半身裸の美しい男性が横たわっており、その急ぎ足の呼吸とともに、くっきりと浮かび上がった腹筋が空気中で上下に揺れ、魅惑的なラインを描いていた。
そして今、自分自身も非常に曖昧な姿勢で男の腰の上に座っていた。
一目で子供に見せられないようなシーンの始まりだと分かる状況だった。
どうしてこんなことに？
確か自分の家のベッドで小説を読んでいたはずなのに。
詩織は一度目を閉じ、これが幻覚だと自分に言い聞かせようとした。しかし再び目を開けても、何も変わっていない現実に直面して。
彼女は事実を認めざるを得なかった。
異世界に転生してしまった！
目が覚めると、雌が少なく雄が多い、雌尊雄卑の星際獣人世界に飛ばされていたのだ。
この世界では、雄は生まれつき精神力が不安定で、雌による癒しがなければ苦しんで死ぬしかない。
そして前の持ち主は自分がSランクの雌であることを盾に、帝国の七人のトップ3Sランク雄の婚約者に強引になっていた。
彼女はきっと人々の上に立つ贅沢な生活を送れると思っていたのだろう。だが、この七人の権力者たちは彼女を眼中に入れていなかった。
栄華を求めて、前の持ち主は危険を冒し、トップ財閥の佐々木彰に薬を盛り、地位を得ようとする行動に出た。
しかし何かの手違いで、山本詩織が転生してきてしまったのだ。
詩織は泣きたい気持ちだった！
前の持ち主は何も知らなかった愚か者だが、物語を知っている彼女はすべてを理解していた。
前の持ち主は恥知らずで、佐々木彰たちに執拗に付きまとい、ついに怒りを買った。
Sランクの雌であっても、最後は葬る場所もなく死んでしまうのだ。
この時、深く考え込んでいた詩織は、彼女の下で薬を盛られた佐々木彰の呼吸がどんどん荒くなり、胸と腹筋の起伏が大きくなっていることに気づかなかった。
前の持ち主が使ったのは闇市で買った特効薬で、普通の獣人なら薬が効いた瞬間に理性を失って襲いかかっていただろう。
3Sランクの獣人である彰だけが、この状態でも意識を保っていられた。
薬の効果が進むにつれ、彰の表情は鋼のように冷たくなり、紫晶色の瞳で詩織を死人を見るように見つめていた。
しばらくして、冷たく陰鬱な脅しの声が響いた：
「山本詩織、お前はこの薬の効果が永遠に続くことを祈った方がいい。そうでなければ、俺の力が回復した時、お前の死が近い。」
「今、分別があるならば解毒薬を出して、遠くへ消え去れ。二度と俺の前に姿を現すな。そうすれば、これが起きなかったことにしてやる。」
「さもなければ、俺のやり方は、お前には耐えられないぞ！」
語尾には冷酷さと血の匂いが隠されていた。
脅しの言葉が終わると同時に、彰の呼吸は急に荒くなり、低く磁性のある粗い息遣いを漏らした。明らかに発情薬の爆発的な効果が現れたのだ。
しかし、彼の体側に垂れた手はきつく拳を握り、青い筋が浮き出ていた。明らかに詩織が従わなければ、共倒れを覚悟していた。
転生したばかりの詩織はギクッとして怯えた。彼女はこのような状況に遭遇したことがなかった。
しかし、彼女は誰よりも今は分別を示さなければならないことを理解していた。
この佐々木家主催のパーティーに前の持ち主は招待状を受け取っておらず、こっそり忍び込んだのだ。誰も知らない。
ここは上から下まで佐々木家の人たちばかりだ。もし彰が力を取り戻したら、自分を処理するのは簡単なことだった。
たとえ突然姿を消したとしても、前の持ち主の最低な評判では、誰も気にかけないだろう。
それを考えると、詩織は身震いし、急いで彰の体から転がり降り、両手を合わせて謝り続けた：
「すみません、すみません。」
「佐々木社長、私が悪かったです！」
「全部私のせいです。私はあなたのハンサムな姿に心を奪われ、このような間違いを犯してしまいました。」
「私のせいです。どうか大目に見てください。今すぐ立ち去ります。」
「必ず遠くに行き、あなたの視界から消えます。」
そう言うと、彰の反応を待たずに、美しい小さな雌は扉に向かって走り出した。
怒りを溜め込み、詩織が従わなければ共倒れの覚悟をしていた彰は、動きを止めた。
こうして去るのか？
簡単な脅しだけで。
彼は詩織が一瞬で別人のように変わったように感じた。
彰は紫晶色の瞳で詩織の去った方向を見つめ、いつも戦略を巡らし、百手先を読む財閥の頂点に立つこの美しすぎる男の顔に、珍しく途方に暮れた表情が浮かんだ。
さらに重要なことに、いつからか空気中にかすかな甘い香りが漂い始めていた。
その香りは彼の鼻先に絡みつき、何となく更なる渇望を呼び起こした。
次の瞬間
聞き覚えのある女性の声が聞こえた。
「すみません、佐々木社長、あなたに渡すものを忘れるところでした。」
「これが解毒薬です。問題ありません。」
「安心して飲んでください。2、3分で正常に戻ります。」
詩織の声には少しの悔しさが混じっていた。どうして逃げることに必死になって、解毒薬を彰に渡すのを忘れかけたのだろう。
彰が解毒薬を飲んだら本当に約束通り、この件を水に流してくれることを願った。
彼女は今後必ず心を入れ替え、きちんと生きていくと誓った。絶対に前の持ち主のように厚かましくこれらの男たちの前に現れることはない。
ベッドに横たわる彰が顔を上げると、彼の位置からは、部屋のドアが外から少し開いているのが見えた。
一本の細く白い手が一瞬だけドアの隙間に現れ、続いてコロコロと、青い液体が入った薬瓶が部屋に転がり込んできた。
詩織は明らかに彰の先ほどの脅しをしっかり覚えていて、あえて姿を見せず、解毒薬を投げ入れるとすぐにドアを閉め、躊躇なく走り去った。
詩織が去ると、空気中のあの希薄だった甘く神秘的な香りもすぐに消えた。
彰は無意識に手を伸ばしてそれを掴もうとしたが、手が空中に伸びたところで何かを悟ったように、男の美しい顔に暗雲が立ち込めた。
「山本詩織、これがお前の新しい手段か？」
「駆け引きか！」
「ふん！」
彰の唇から軽蔑の笑いが漏れ、紫晶色の瞳で半ば嘲り、半ば皮肉を込めて手の中の解毒薬を見つめ、一気に口に流し込んだ。
次の瞬間
パリンという鋭い音が鳴り、解毒薬が入っていたガラスの小瓶は、男の大きな手によって容赦なく握りつぶされた。
もしこれで彼の目を引けると思っているなら、まったくの夢だ！
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