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Chapitre 5: 情勢

Éditeur: Pactera-novel

栄閑仙はサバイバルゲームになぞらえて、二人の子どもへ説明を終えた。「怪獣は人を食べる。わたしたちは武器で倒して宝物を手に入れる。落とした素材でさらに強い武器が作れるし、肉が食べられる怪物もいる。」

生き残るには、みんな強くならなきゃいけないんだ。

そう言い聞かせ、萱ちゃんに弟を連れてプレイルームへ行くよう指示した。

幼い子を連れて外へ出られる状況ではない。修練法を練り、自宅で静かに力を蓄えるしかない。呼吸を整えたのち、窓外から届く悲鳴と怪物の咆哮を背に、栄閑仙は淡々と物資の整理に取りかかった。

3日で停電、5日で断水。前世の記憶に刻まれた数字が指先を急がせる。まずは洗濯。衣類、シーツ、カバー類をまとめて洗濯機に放り込む。と、栄閑仙が動き出す。

前世では飲料水確保に気を取られ、洗濯など夢のまた夢だった。飲み水さえ足りない状況で、洗濯に使うなど、もってのほかだった。

その後、逃避行の途中で水源を見つけることはあったものの、水の中には、未知の危険が潜んでいる。必要な飲み水を確保する以外、近づくことさえ、ためらわれた。

家にある飲料は、炭酸水3箱、ミネラルウォーター2箱、ゼロコーク1箱、スプライト1箱、ファンタ1箱、大タンク2本。

牛乳2箱、ヨーグルト数本。白酒と赤ワイン、地下にはビール1箱。

過去の衝動買いに今は感謝しかない。

仕事もせず、子供の面倒を見るだけの毎日。退屈しのぎに、あれこれと買い込むのが常だった栄閑仙。

家に置き場所がなくなると、荷造りして実家へ送る。それが、栄閑仙なりの、一種の気晴らしだったのだ。

水は十分にあるように見えても、やはり備蓄は必要だ。母子3人、少なくとも、ここで3ヶ月は過ごすことになる。

北へ向かう道中、水を補給する時間があるとも限らない。

貯水用の容器、と思い、クローゼットの天袋から、萱ちゃんが幼い頃に買った、子供用のビニールプールを引っ張り出した。縦2.2メートル、横1.8メートル、高さ1.1メートル。買ってから数回使っただけで、仕舞い込んでいたものだ。今、貯水用に使うには、ちょうどいい。

栄閑仙は、ホースを浄水器に接続した。浄水器は、きれいな水を1杯作るのに、不純物を含んだ水を2杯半も排出し、しかも、水が出るのが遅い。

そのため、普段は水道水で洗濯をし、料理にだけ浄水を使っていた。けれど今回は、すべての貯水容器に、浄水を入れることに、栄閑仙が決めた。どうせ、もう水道代を気にする必要もないのだから。

ビニールプールには、かなりの量の水が貯められる。主寝室の浴槽にも、水を張る。大きなバケツが数個、子供たちのベビーバス、家中の洗面ボウルや洗い桶にまで、水を満たした。

そうだ、巨大な水草水槽もあった。夫が苦心して育てた水草を、すべて取り除き、きれいに洗い、水を満たす。

水を貯める間も、休んではいられなかった。家中の物資を、整理整頓する。結婚祝いに母が作ってくれた木綿の布団、絹の布団、羽毛布団。場所を取らないよう、すべて圧縮袋に入れてあったのが幸いした。そのまま、香袋に収める。

子供たちのダウンジャケット、綿入れ、外出着も、圧縮して袋へ。靴やブーツと共に、香袋に入れる。インスタント食品1ケース、ミルクティー1ケース、インスタント麺2ケース、緑茶2ケース、ソーセージ2袋、紫芋1袋、干し椎茸1ケース、白米2袋。すべて、香袋へ。地下室には、冷凍食品でいっぱいの冷凍庫があり、棚には、さらに白米2袋、八宝粥1ケース、多くの菓子類が置かれている。停電しても、冷凍食品はすぐには傷まない。今、上へ持ってきても、置く場所もない。まずは、家の中の整理を優先しよう。

以前購入した、豪華なキャンプ用テントを見つけ出した。パオのような形のテントだ。寧青雲が休暇を取った時、家族でアウトドア用品店へ行き、萱ちゃんが、とても気に入ったものだった。テントの中には、小さなテーブルや椅子、折り畳みベッドがあり、テーブルの上には、おもちゃのナイフや、プラスチックの果物、野菜まで並べられていた。女の子は、おままごとが好きだ。夫は、それらをすべて買い与え、寝袋、登山用ステッキ、エアマット、手回し発電式のランタンまで揃えた。いつか、家族旅行で、キャンプができるように、と。

栄閑仙は、そのテントを、しばし、ぼうぜんと見つめた。前世でも、このテントを車のトランクに積んで持ち出した。野外で、安全な場所がない時に、子供たちを雨風から守るために。けれど、結局、守り通すことはできず、他人に奪われてしまったのだ。

今回も、北へ向かうルートと時期を変えるつもりはない。もしかしたら、テントを奪った人間に、また会うかもしれない。

その時は、きっちりと、借りを返させてもらう。

テント、登山用ステッキ、ランタン、エアマット、寝袋。すべてを、香袋に詰め込んだ。

子供連れでは、外へ怪物を狩りに行けなくとも、獲物を狙う機会がないわけではない。ここは17階、最上階だ。上には屋根裏部屋があり、屋上は平らになっている。寧青雲は、そこで植物を育て、夏には涼んだり、時にはバーベキューをしたりもしていた。

そこには、蒸し焼きもできる、かなり大きなバーベキューコンロが置かれている。羊肉の串焼きや、鶏の丸焼き、サツマイモやジャガイモを焼いたこともあった。

獲物を狙うなら、屋上で肉を焼けばいい。飛行する怪物を、確実に誘き寄せられるはずだ。けれど、今は、その時ではない。実力は前世より遥かに向上したとはいえ、遭遇する怪物の強弱は、運次第だ。もし手に負えない相手に遭遇し、傷を負ったり、逆に獲物とされてしまえば、子供たちに生きる道はなくなってしまう。移動できない状態だった、あの精神攻撃を使う怪物にさえ、危うく窮地に陥れられるところだったのだ。二度と危険は冒せない。獲物を狙うにしても、万全の準備が必要だ。

今はまだ、あまり人目を引くわけにはいかない。末世初期、状況を理解できず、仕事などの理由で外出し、多くの犠牲者が出たのは事実だ。だが、異変を察知し、電話やテレビ、電子機器が一切使えなくなった時点で、家の中に留まり、静かに様子を窺う道を選んだ者の方が、遥かに多かったのだ。

この時点では、大半の家庭に備蓄食料があり、政府への信頼、あるいは畏怖のようなものが、まだ残っている。何の音沙汰もないとはいえ、生存者の多くは、まだ、心を平静に保っていた。皆が、救助を、政府からの発表を、待っているのだ。

およそ1ヶ月後。救助は一向に訪れず、怪物は増え続け、ドアや窓を破って室内に侵入してくる怪物まで現れる。そして、多くの家庭で、備蓄の食料と水が底をつく。その時こそ、本当の混乱が訪れるのだ。

母子3人の安全を確保できるだけの、十分な力が備わるまでは、目立つ行動は慎むべきだ。今は、慎重に事を運ぶ方がいい。

だからこそ、先ほど、怪物を狩りに出た際も、人目を忍ぶ必要があったのだ。

修練法を手にし、修行によって、五感は鋭敏になり、身のこなしも軽やかになり、力も増した。けれど、怪物を殺すのと、人間を相手にするのは、また別の話だ。もし誰かに狙われるようなことがあれば、多勢に無勢。1人で、2人の子供を守らねばならない。後顧の憂いなく動くためには、あるいは、仲間が必要になるかもしれない。

人間は、結局のところ、社会性を持った、群れで生きる動物だ。世界の異変に伴い、気候は不安定になり、安全な栽培や飼育の環境も失われた。今後の食料源は、残された食品や穀物を探し集める以外、主に狩猟と採集に頼ることになるだろう。

前世、栄閑仙は、近づいてくる者すべてに、警戒心を抱いていた。

ある人物が、萱ちゃんを守るために、生死不明となってしまった。その時、どれほど悔やまれたことか。

「……そろそろね」栄閑仙は曇天を見上げ、静かに息を整えた。


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