Chapitre 5: 5章 クリオの特殊な体質！
Éditeur: Inschain-JA
鶴山の頂上では、雲海が屏風のように広がり、真の景色を覆い隠していた。
もしあなたが縁のある者なら、雲間に隠れた鶴山に登り詰めた時、一軒の竹の庵を見つけるだろう。
二、三棟の竹の家がひっそりと佇み、周囲には広大な竹林が広がっている。風が吹けば、竹林はまるでうねる大波のように、さざなみを立てつつ遠くへと広がっていく。
そして竹の家の前には、数脚の石の腰掛けと、一つ石の机が置かれていた。
「本当にあの子らをほったらかしでいいのかい？」明らかにふくよかな中年の男、白木アンドレ（しらき アンドレ）は、片手に鶏の腿肉をガブリとかじりながら、もう片方の手に持った杯を傾け、ごきげんに尋ねた。
「…しばらく見守ろう」
アンドレの向かい側に座る小林ボブ（こばやし ボブ）は、上の空で彼を一瞥するだけだった。そしてすぐに視線を手に持った本に戻した。
アンドレはボブに向かってあきれたような表情を浮かべた。この体たらくで、まだ知らんぷりして「見守ろう」だなんて？ああ、長年親友付き合ってつ相手のこと、知らないわけないだろう。見てみろよ、ここに何時間も座りながら、手にした本のページがずっと同じなんだぞ。
しかし、アンドレでさえ、今なお登り続けるあの小さな娘には感服せざるを得なかった。もうどれだけの時間が経ったというのか？山はまだ半分にも登っていないが、それでも彼女はまだ子供だ。しかも背中には、自分とそう変わらぬ重さの少年を背負っている。それでよくもまあ、ここまで登り続けられたものだ。アンドレには信じがたい思いだった。
アンドレは料理人であり、それも巨匠級の料理人だった。彼の料理の腕は大陸最高水準と言っても過言ではない。そんなだらしなく食いしん坊な男が、堅物で、いやむしろ偏屈なボブと友人になるとは。しかも付き合いは数十年になる。彼に取り入ろうとした多くの者たちが呆れ返るのも無理はなかった。
一方のボブは、表向きは牧師であった。牧師は二種類に分かれる。一つは聖光系魔法で病を癒す者と、もう一つは水系魔法で病を癒す者だ。ボブは後者に属し、彼の魔法はすでに達人級に達していて、大陸に三人しかない水系達人位魔法使いの一人なのである。
しかし彼は、めったに人を救わなかった。数少ない例外であるアンドレという長年の親友以外、誰も彼が鶴山に隠遁していることを知らなかった。彼には隠すべき秘密があった。アンドレ以外には誰も知らない、ただ一つの秘密を。
ボブは顔を上げずとも、親友が今どんな顔をしているか分かっていた。実のところ、彼自身も少なからず驚いていた。今なお登り続けるあの少女の勇気は確かに称賛に値するが、女は所詮女だ。彼は昔から、女に大した見込みはないと思っていた。
彼が注目し始めたのは、その少女が背負っている少年だった。全身に鞭の傷痕が刻まれている。顔は見えなくとも、彼の精神力は山全体を覆っている。山の中であれば、ほとんど知らぬ事はないのだ。
ボブは精神力で感じ取った。その少年はまだ幼く、身体も未発達なのに、これほどの重傷を負っている。彼が驚いたのは、普通の人間であれば、これほどの傷を負えばとっくに絶命しているはずだということだった。
しかし、この少年は、明らかに傷を負ってから数日経過しているにもかかわらず、この状態を保ち続けている。ボブは思わず感嘆のため息をもらした。
そして、さらに彼を震撼させたのは、ボブが少年がなぜ今なお生きているのかを探ろうと精神力で体内を探査した時、偶然にも呪詛系の力の存在を感知したことだった。
この大陸では、誰もが呪詛系魔法使いを忌み嫌っていた。彼らは皆、呪詛系魔法は邪悪で、人を傷つけるだけだと考えていた。この見解をボブは心の底から否定していた。彼はよく知っていた。呪詛系魔法決して人間を傷つけるだけのものではない。真に人間を傷つけるのは人間だということを。
しかし、まさか生涯で、まだ魔法を修練していない人の体内に呪詛系魔法の力が宿っている者に出会うとは。しかも、あの子が今なお生き延びている原因が、その呪詛系魔法の力であるとは。
ボブは今、胸の内が波立っていた。これは間違いなく縁だ。ボブは常々、機会というものが重要だと考えていた。今この瞬間、この少年は天が彼に授けた最高の贈り物だと思った。彼の思想を継承させるために。しかし、彼はまだ見極めたい。この二人の子供が、いったいどこまでやれるのかを。
一方その時、クリオは茫然自失の表情で、気を失って地面に倒れているエイヴリルを見つめていた。目を覚ました時に目にしたのは、自分のために力尽きて倒れた姉の姿だったとは。
クリオの涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。彼の心は激しく揺れていた。なぜ神様は、哀れな姉をこれ以上苦しめなければならないのか？すべての苦しみは、自分一人が引き受ければいいのに。
クリオは必死に、エイヴリルのそばまで這っていこうとした。しかし、ほんの少し体を動かしただけで、全身の傷がうずきだした。
クリオの傷口が再び裂け、血がじわじわと滲み出て、地面を赤く染め始めた。
痛みでクリオの頭はかえってはっきりした。彼は歯を食いしばり、体が立ち上がれないなら、這ってでも姉のそばにたどり着くつもりだった。
しかしその時、二人の男が仙人のように、霧をまとって現れた。
冷たげな風貌の男が彼を抱き起こし、指をひらりと一振りする。呪文すら唱えずに、水系魔法がふわりと現れた。
ほんの一瞬で、クリオは体の調子がずいぶん良くなったのを感じた。傷口から血が滲むこともなく、痛みはようやく和らいだ。
クリオはほっと息をついたが、すぐにその男の袖を掴んだ。小さな手でしっかり握りしめて、必死に訴えた。
「…お姉ちゃんを…助けて…ください…」
ボブの袖はクリオに引っ張られていた。その小さな手で、固く握られていた。
クリオの喉は焼けるように乾ききっていたため、発せられた言葉もかすれ、ボブはしばし眉をひそめて考え込んだ後、ようやく彼の言わんとすることを理解した。
「彼女はただ、力尽きて気を失っただけだ。少し休めば回復するだろう」
ボブはクリオをじっと見つめ、精神力が接触した肢体を通じて彼の体内に流れ込んでいった。
この未来の弟子を、彼は見れば見るほど気に入っていった。何年も無表情を保ってきた顔に、ついにほのかな微笑みが浮かんだ。
そしてすぐさま、彼はクリオを抱き起こし、肩に担ぎ上げると、霧をまとって飛び去ってしまった。
アンドレを一人、呆然とそこに取り残した。彼が相手の微笑みという珍事から我に返った時、地面に残されていたのはエイヴリルと自分だけだった。
アンドレはやれやれというため息をついた。この小さな娘がここまでやったことへの敬意を込めて、彼女を山頂まで連れて行ってやろう。
そして、彼の手が油でべたついていたため、風系魔法でエイヴリルの体をふわりと浮かせ、山頂へと飛び立っていった。
Cadeaux
-- Cadeau
reçu État de l’alimentation hebdomadaire
-- Classement
Power Stone 
-- Power
stone