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42.85% 過ぎ去りし時、恨みも想いもなし / Chapter 3: Chapter 3

Chapitre 3: Chapter 3

光男の顔に一瞬のためらいが浮かんだ。

しかしその瞬間を見極める間もなく、彼の声がはっきりと私の耳に届いた。

「うん」

相変わらず深情的な目を見て、私はついに諦めて、強く頷いた。

食事の後、光男は私の手を引いてデッキに出て海風を浴びた。

「智子、覚えてる?5年前、俺がここでプロポーズしたんだ。あれが俺の人生で一番幸せな日だった」

普段なら幸せを感じるはずのこの言葉が、今では私に突き刺さる針のようだった。

私の心臓は大きな手で強く握りしめられたようだった。

幸せなのか?

佐藤光男、本当に幸せなのか?

しかし私が口を開く前に、愛らしい声が私を遮った。

「智子、あなたがうらやましいわ。こんなロマンチックな場所でプロポーズされるなんて、それは私の夢だったのに」

「光男はあなたを本当に愛しているのね、こんなにも心を尽くして。誠一を見てよ、兄としてはいるけれど、女性を喜ばせる方法では光男に及ばないわ」

「それに私の結婚式の時も...あら、ごめんなさい智子、言い過ぎたわ。気にしないでね?」

顔を上げて目の前の美咲を見たとき、彼女の目に一瞬よぎった得意げな表情を見逃さなかった。

実際、私と美咲はあまり親しくなかった。彼女が佐藤家の兄弟と幼なじみで、三人の仲が良かったことしか知らなかった。

大学3年の時に中島家が海外移住し、佐藤家は日本に残ったため、彼らの連絡は途絶えた。

私と佐藤誠一は大学で知り合った。彼は3年生、私は1年生で2歳差だったが、新入生報告会で一目惚れした。

初めから佐藤誠一に前の恋人がいたことは知っていたが、二人は遠距離恋愛で別れたと聞いていた。

付き合い始めてからも、誠一は常に二人の間にもう何もないと私に保証していたので、私は疑わなかった。

その後、私と誠一の関係が安定し、徐々に彼のサークルにも溶け込み、彼の弟である佐藤光男とも知り合った。

私たち​が結婚した日まで、佐藤誠一が休憩室で中島美咲と情事を交わしているのを見つけた。

その瞬間、私は悟った。交際してきた四年間、彼は一秒たりとも彼女のことを忘れたことがなかったのだと。

でも私が知らなかったのは、中島美咲が佐藤誠一の忘れられない人だけではなかったということ。

佐藤誠一が中島美咲を待っていたこの数年間。

佐藤光男もまた、彼女の帰りを待っていたのだ。

私は中島美咲を一瞥し、自分でも冷たいと感じる声で口を開いた。

「私たち、親しくないわ」

「弟の嫁と呼ぶべきでしょう」


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