8
目を開けると、鼻を突く消毒液の匂いが鼻腔に入り込んできた。
窓の外では、時折建物が崩壊する轟音が響き、空一面に土埃が舞い上がっていた。
私はぐらつくベッドに寄りかかり、鉄のフレームが重みに耐えかねて軋む音を聞いていた。
腹部の傷がうずき、包帯の下の平らな感触が、永遠に失われた小さな命を思い出させる。
山田昭はまっすぐに跪き、額を冷たい土の床に押し付けていた。
物音を聞いて、彼は急に顔を上げた。かつては恐ろしい形相だったその顔が、今は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
彼は地面に強く頭を打ちつけた。「俺は人間じゃない!お前に申し訳ない…」
「お姉さん?顔色すごく悪いよ」
雨子が私の目の前で手を振り、自分のボロボロの綿入れを私の上に掛けてくれた。
我に返ると、自分の爪が既に手のひらに深く食い込んでいることに気づいた。
窓の外から、終末の冷たい風が鉄錆の匂いを運んでくる。それは記憶の中の産室の血の匂いと不気味に重なり合った。
昭はまだ謝り続けていた。
「もういい」
私は弱々しく手を上げて制した。
「あなたも皆のためを思ってのことだったのよ」
言い終わらないうちに、高橋雨子が昭の後頭部を平手打ちした。
「今さら謝るの?お姉さんを殴ったときはすごく威張ってたじゃない!」
昭は避けもせず、突然私の手を掴んで自分の顔を叩こうとした。
彼の頬骨が私の指の関節に当たって痛み、熱い液体が私たちの絡み合った指の間から流れ落ちた。
彼の涙なのか、私の手のひらの血なのか分からなかった。
「俺は死ぬべきだ!目が見えてなかった!俺は…」
「もういいわ」
あの子が血の痕跡になってしまったことは、彼の心に一生残る傷になるだろうと分かっていた。
でも私も子供を失う痛みの中にいた。
今この瞬間、これ以上の慰めの言葉は出てこなかった。
「昭、私に一つ頼みを聞いてくれる?」
長い間考えてから、やっと口を開いた。
「高橋隆と鈴木柔に天罰を下したい!」
彼は顔を上げ、真っ赤な目で私を見つめ、力強くうなずいた。
「賛成!」
雨子が真っ先に飛び上がった。「そんな薄情な畜生がリーダーなんてふさわしくないわ!みんなどうやって自分の安全を任せられるの?」
昭は黙って立ち上がり、血のついた軍用ナイフを取り出した。