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38.46% 二十年の愛を結婚式で断ち切る / Chapter 10: 第10話:消えた痕跡

Bab 10: 第10話:消えた痕跡

第10話:消えた痕跡

[冬夜の視点]

「キャンセル?」

冬夜の声が震えた。

「半月前に......雪音が?」

ホテルスタッフは困惑した表情で頷いた。

「はい。白鐘雪音様から直接お電話をいただきまして......」

冬夜の頭の中で、記憶の断片が蘇り始めた。

半月前。紅の妊娠が発覚した日。

あの日から、雪音の様子がおかしかった。でも自分は紅のことで頭がいっぱいで、雪音の変化に気づこうとしなかった。

「冬夜!」

母親の鋭い声が響いた。

「どういうことなの?」

周りにいた親戚や友人たちも、ざわめき始めた。

「結婚式はどうなってるの?」

「雪音ちゃんはどこにいるの?」

質問が飛び交う中、冬夜は何も答えられずにいた。

母親が冬夜の腕を掴んで、ロビーの隅に連れて行った。

「今すぐ雪音に電話しなさい!まだ結婚する気があるのかどうか、はっきりさせて」

母親の声は怒りで震えていた。

冬夜は震える指でスマートフォンを取り出した。

雪音の番号を選択して、発信ボタンを押す。

『おかけになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため......』

機械的な音声が流れた。

もう一度かけ直す。

『おかけになった電話番号は......』

同じ音声が繰り返される。

----

その頃、雪音は皇都行きの航空機の中にいた。

離陸から一時間が経過し、機内は静寂に包まれている。

窓の外に広がる雲海を見つめながら、雪音は冬夜のことを思った。

今頃、彼は結婚式場で何が起きたのか理解しているだろうか。

それとも、まだ自分が戻ってくると信じているのだろうか。

雪音は目を閉じた。

もう、振り返らない。

----

[冬夜の視点]

冬夜は家に向かって車を走らせていた。

もしかしたら、雪音は家にいるかもしれない。

体調を崩して、結婚式に来られなくなったのかもしれない。

そんな淡い期待を抱きながら、アクセルを踏み込んだ。

家の前に到着すると、冬夜は急いで玄関の鍵を開けた。

「雪音!」

声をかけながら中に入る。

しかし、返事はない。

リビングに入ると、いつもと変わらない光景が広がっていた。

でも、何かが違う。

冬夜は部屋を見回した。

テレビ台の上にあったはずの、雪音との写真が入ったフォトフレームがない。


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