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翌日、夜が明けるとすぐに、私は早起きして荷物をまとめた。
木村美咲が主寝室から出てきて、私がまとめた旅行カバンを見ると、すぐにその上に手を置いた。
「あなた、なぜ荷物をまとめているの?どこに行くつもり?」
美咲は困惑した様子で私を見つめ、その目に浮かぶ不安は演技とは思えなかった。
「医者が怪我が重すぎるから、数日間入院するように言ったんだ」
私は適当に理由をでっち上げた。
美咲はほっとため息をついた。
「病院まで送るわ」
しかしその時、寝室にいたはずの杏子が興奮して客間に駆け込んできた。手には優等生の賞状を持ち、美咲に言った。「ママ、いつ林田おじさんに会いに行くの?」
「林田おじさんが私が優等生だって知ったら、きっと喜んでくれるよね!」
しかし次の瞬間、私も客間にいることに気づいた杏子は、すぐに口を閉じ、賞状を背中に隠した。
美咲は顔色を変え、急いで杏子を抱き上げて外に向かった。「戻ってきたら、病院に送るわ」
彼女が慌てて去っていく姿を見ながら、私は頭を振った。
本来なら離婚のことを彼女に伝え、私たちの7年間の関係に正式に終止符を打つつもりだったが、今となってはその機会もなさそうだ。
彼女が出て行った後、私も旅行カバンを引いてこの場所を後にした。
出発前に、離婚協議書をテーブルの上に置いておいた。