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「なんだって?」
「88万?嫁さん、聞き間違いじゃないよね。18万って話だったじゃないか。俺たち田舎者だぞ、そんな大金どうやって用意するんだよ」
私は驚いたふりをして、眉をひそめて困ったような表情を作った。
私の返事を聞いて、田中美香はすぐに表情を変えた。
「あなたの実家にはまだ家があるでしょ?それにお母さんが持ってる先祖代々の翡翠の腕輪と、何年も貯めてきた老後の資金もあるじゃない」
「それに、昨夜私たち関係を持ったばかりよ。まさか、ズボンを履いたら知らん顔するつもり?」
「もしこの88万の結納金を用意できないなら、私だって黙ってないわよ!」
美香の目には貪欲な光が宿り、言葉の端々には脅しの色が見えた。
だが私は、まるで全く気づいていないかのようなふりをして、家は両親のものだから、結婚のために両親を家なしにするわけにはいかないと伝えた。
それを聞いた美香は、ニヤリと笑い、完全に仮面を脱ぎ捨てた。
「あの人たちがどう生きようと私に何の関係があるの?生きられないなら死ねばいいじゃない」
「警告しておくわ。もしお金を用意できないなら、私が手のひらを返して強姦で訴えても文句言わないでよ」
私はまさにこの言葉を待っていた。慌てたふりをして言った。「昨夜は君から積極的に誘ってきたじゃないか。それに俺たちはもう婚約してるんだ。どうして強姦になるんだよ!」
「笑わせないで?私があなたを誘ったって、どうやって証明するつもり?」
そう言い残すと、美香は立ち上がって服を着て出て行った。出る前に、もう一度私を脅した。5日以内にお金が見られなければ、牢屋行きを覚悟しろと。
私は彼女の後ろ姿を見つめ、スマホの監視カメラの映像を確認して、笑った。
確かに牢屋行きだ。
でも今回、牢屋に入るのは私じゃない。
お前だ。