藤原修が来た時、私は柳田雪乃のことをとても嬉しく思った。
「良かったわね、私たちと雪乃ちゃんは家族のままよ」
藤原修は顔を曇らせたが、私の前では怒りを表すことができず、ただ我慢するしかなかった。
私は軽く笑い、さらに爆弾発言を投下した。
「皇太子殿下、ご存知ないでしょうが、昨日、藪医者が来て、私たちの屋敷に妊娠している人がいると言ったのです」
「母上はそれを聞くと、すぐにその医者を追い出しました。あやうく鈴木家の娘を危険な目に遭わせるところでした」
藤原修の顔色が青ざめ、柳田雪乃との関係を思い出した。
もし間違いなければ、きっと柳田雪乃のお腹には彼の子供がいるはずだ!
私は藤原修の目まぐるしく変わる表情を見つめた。
「殿下、どうなさいましたか?」
藤原修は首を振り、私を見た。
「何でもない。私は先に失礼する」
私は彼を引き止めず、代わりに手紙を書いて鳩に託した。
三皇子の軍隊の進軍をもう少し早めることができる。
私の予想はやや遅かったようだ。
半月も経たないうちに、天皇は崩御した。
そして最も重要なことに、皇后の上で馬上風で亡くなったのだ。
私は眉を上げた。以前、長谷川静香は皇后と藤原修の関係が単純ではないと言っていたが、今となっては、藤原修は相変わらず冷血漢だと分かる。
天皇が崩御すると、藤原修は誰も気付かないうちに偽の勅命を伝え、即位した。
即位の翌日、すぐに鈴木邸に賜婚の勅命を下し、私に入宮を命じた。
私は冷笑しながら、勅命を受け取った。