腹ごなしも済ませ、五人は再び出発した。
今回はフークも双子の姉妹たちも、より一層力を入れて行動していた。
彼らには思いもよらなかったことだが、歴史記録のランキングに名前を残せるチャンス、しかも一位になれる可能性があるとは!
確かに炎の森という初心者秘境の、それも通常難易度に過ぎず、他人が見れば彼らが大物に便乗しているだけだとすぐわかるだろう。
だがそれがどうした?
腕に自信があるなら、彼らも林田のような強者を見つけて、歴史記録を更新してみればいい!
そんな励みがあれば、彼らが一層力を入れるのも当然だ。
強者の尻馬に乗るなら、それなりの覚悟も必要だ!
自分の努力不足で置いていかれたら、後悔しても遅い。
先に進むにつれ、エリートレベルの雑魚モンスターの数も増えてきた。
こうした状況下で、林田が技を繰り出す頻度もますます高くなった。
治癒術と懲戒術は、どちらも詠唱不要のスキルであり、理論上は手を上げるだけで発動できるものだ。
ただしこれには極めて高い呪文技術が必要で、林田のように二つのスキルを切れ目なく切り替えられる者は、さらに稀だった!
林田の詠唱速度は非常に速く、時にはフークたちに、治癒術と懲戒術という異なるスキルを同時に放っているように見えることさえあった。
その能力に、フークたちは興奮を隠せなかった!
もし彼らも技術面でここまでのレベルに達することができれば、才能が平凡であっても職業者の中で生きていける道があるだろう。
しかし残念ながら、それは非常に難しい。林田のような達人こそ、真に万人に一人の存在なのだ。
「ガァ!」
また一筋の聖光が落ち、レベル3のゴブリン戦士が地に倒れた。
「私たち、たった五十八分でボスの前まで来ちゃったわ!」ダイナが時間を計算しながら、非常に興奮した様子で言った。
この道中、主な火力はほとんど林田だった!
彼らだけなら、ここまで速く進めなかっただろう。
「魂の鎖の効果を解除するぞ。自分の立ち位置に気をつけて、ボスの攻撃に当たるなよ」
林田も時間を確認してから指示した。
他の四人は頷いて同意した。
ボスのダメージはかなり高いため、ダメージ分散はボス戦では慎重に使うべきだ。
さもないと一つのスキルで誰か一人でも避けられなかったら、全滅する可能性がある。
林田は彼らを連れて小さな森の中へと進んだ。
本来薄暗かった森の中に、あちこちに燃える松明が立てられ、森全体が赤く照らされていた。
そして森の中央にある空き地では、ゴブリン祭司が虎視眈々と林田たちを見つめていた。
……
ゴブリン祭司(小ボス)
生命値:10000/10000
スキル:棍撃(80ダメージ、1.2秒)、ファイアボール(120ダメージ、2.5秒詠唱)、小隕石(200ダメージ、ランダム落下、3秒予告)
説明:村で唯一魔法を使えるゴブリン。幼少時に隕石が頭に当たり、悟りを開いたという。
……
小隕石のダメージはかなり高く、脆い職種は一発当たるだけで生命値が空になり、瀕死状態に陥る。
職業者の生命値は、実質的にはダメージを相殺するための数値だ。
生命値が尽きない限り、職業者本体にダメージは及ばない。そのため一見派手な攻撃を受けても、生命値さえあれば実際に怪我をすることはない。
しかし、いったん生命値が尽きると、職業者は瀕死状態に陥る。
この状態では、あらゆる攻撃が直接職業者の体に作用する。
例えば昨夜教会で林田が出会った田中たちは、明らかに秘境内で不注意により生命値を使い果たし、負傷したのだろう。
だが初心者ボスとして、ゴブリン祭司のスキルは回避しやすい。基本的に身体障害がなければ、誰でも避けられるだろう。
最終ボスとはいえ、小手下を連れたエリートモンスターより対処しやすい。
単に時間がかかるだけのことだ。
「愚かな侵入者どもよ、炎の洗礼を受けるがいい!」
村一番の賢いゴブリンとして、彼は「ガァガァ」と鳴くだけでなく、人間の言葉を話せた。
「フーク、俺がボスに近づいたら、すぐに突撃しろ!」
「アーチャーたち、位置取りに注意!」
林田の動きは素早く、フークよりも先に率先してゴブリン祭司へ向かった。
治療師がボスに突進するという光景は奇妙だったが、それが現実に起きていた!
フークたちは他のことを考える余裕もなく、すぐに林田の指示通りに行動を始めた。
突撃は戦士の基本スキルだ。
一定距離内で戦士が十倍の速度で目標に向かって突進し、短時間目標を気絶させ、大量の敵意を生み出すことができる!
フークが突撃した時、林田はすでに身をかわして位置を空けていた。
フークが最前線に立ち、ゴブリン祭司は突撃効果により短い間気絶状態になった。
その瞬間、林田は幽霊のように素早く動き、ボスの背後に回り込んだ。
「バン!」
一撃の棍棒が見事にゴブリン祭司の後頭部を強打した!
-233!
赤い数字がゴブリン祭司の頭上から浮かび上がった!
全員が目を見開いた!
フークも驚愕した。これが一体、治療師が繰り出せる近接ダメージなのか?
彼より十倍以上も高いじゃないか!
【ゴブリン祭司は「狂乱」状態になった。受けるダメージが100%増加、詠唱速度が300%上昇】
この通知を見て、フークたちは驚いた。
なるほど、一見簡単なボスなのに林田がずっと位置取りに注意するよう念を押していたのは、こういう作戦だったのか!
炎の森速攻法の一つに、ゴブリン祭司の「狂乱状態」を引き出し、受けるダメージ倍率を強制的に上げて速攻する方法があった。
ただし、その代わりにゴブリン祭司の詠唱速度も大幅に上昇し、チームメンバーの位置取り能力がより試されることになる。
まさに両刃の剣だ!
ダイアンとダイナは極度の緊張状態に陥った。
「ワァ!ガァガァガァ!」ゴブリン祭司は狂気の叫びを上げ、周囲の地面に複数の魔法陣が現れた。
それは隕石が落下する予告だった。
全員が慌てて避難し始め、攻撃する余裕などなかった。
本来なら3秒の予告時間があり、障害がなければ十分に避けられ、欲張れば矢を一本放ってから避けることもできた。
だが今は予告時間がわずか1秒しかなく、即座に避けなければ確実に被弾する。
他の者たちが慌てて隕石を避けている間に、林田はすでに懲戒術を放っていた!
-2110!
聖光がゴブリン祭司を打ち、2000を超える巨大なダメージを叩き出した!
懲戒術の基本ダメージは200ポイントだが、林田の5ポイントの魔法強度によって1000ポイントのダメージとなる。
そしてゴブリン祭司が狂乱状態に陥ったことでダメージが倍増し、1000ポイントだった懲戒術のダメージは一気に2000ポイントにまで跳ね上がった。
林田は5秒以内にゴブリン祭司を倒す気だった!