Bab 6: 陸廷琛の心が和らぐ
Editor: Pactera-novel
廷琛は一瞬、言葉を失った。確かに彼は認めざるを得なかった――二人は同じ母から生まれた兄妹だが、妹は幼い頃から父に甘やかされ、わがままで手のかかる性格だった。そして自分とはもともと距離があり、年月を重ねるうちに兄妹の関係はますます希薄になっていったのだ。
さらに言えば――彼女が遅に嫁ぐために命を懸けてまで騒ぎ立てていたことには、正直うんざりしていた。
彼が言葉を失ったのを見て、涼微は口元に微笑を浮かべた。「私ね、案外いろんなことを知ってるのよ」
廷琛は小さく鼻を鳴らし、それ以上何も言わなかった。
すると涼微は、食箱からもう一杯のワンタンを取り出した。
彼は呆然とした。
「一人で食べるなんてつまらないわ。お兄様も一緒にどうぞ」涼微はにっこり笑いながらそう言い、箸を彼の手に渡した。そして自分ももう一膳を取り、向かいの席に腰を下ろして食べ始めた。
湯気に包まれて霞む彼女の小さな顔を見つめているうちに、廷琛の胸の奥がふっと和らいだ。そして黙って箸を取り、ゆっくりと食べ始めた。
ごくありふれた朝食のはずなのに、廷琛は不思議と心満たされる思いで、最後のひと口まで味わった。
食べ終えると、廷琛は箸を置き、静かに彼女を見据えた。「……で？言ってみろ。私に何をさせたい？」
涼微はためらうことなく、率直に口を開いた。「お兄様、私……医術を学びたいの。外出されるときでいいから、医学書を何冊か持ってきてくださらない？」
彼女の口から出た言葉に、廷琛は思わず目を見張った。まさか――遅に自分を側室として迎えるよう懇願する話ではなかったのだ。
驚きが過ぎて落ち着きを取り戻すと、廷琛はゆっくりと問いかけた。「……本気で、医術を学びたいのか？」
涼微は真剣な眼差しで頷いた。「そうよ。――お兄様、手伝ってくれる？」
廷琛はしばらく彼女を見つめていたが、その瞳に冗談の色がないと悟ると、ゆっくりと立ち上がって言った。「医術を学びたいなら、わざわざ外で本を買う必要はない。……忘れたのか？母上は生前、名医として多くの人を救ってこられた。腕は確かで、多くの人を救っておられた」
涼微は驚いた。
彼女の母が医術に通じていたなんて――
そんなこと、書物の中にも一言も書かれていなかった。
「じゃあ、お兄様、早く見せて！」涼微は勢いよく立ち上がり、期待に満ちた声で急かした。
彼女の真剣で待ちきれない様子を見て、廷琛は静かにうなずいた。
凌氏は生前、芳華苑で暮らしていた。
凌氏が亡くなってからすでに何年も経つが、芳華苑の庭も調度も、すべてが丁寧に手入れされていた。それを見れば、彼女が赫天の心の中でどれほど大きな存在だったかが、はっきりと分かる。
「ここが、母上がいつも医術の研究をしていた部屋だ。中の書物はほとんど医術に関するものだ」廷琛は扉を開けながら、落ち着いた声でそう言った。
涼微が部屋に入ると、両側の書棚にぎっしりと並ぶ医学書が目に飛び込み、思わずその瞳が輝いた。
まさか凌氏が、これほど多くの医学書を集めていたとは――。その膨大な蔵書から、彼女の医術への深い情熱がはっきりと伝わってきた。
涼微は書棚から一冊を手に取り、その保存状態の良さに思わず感嘆した。年月を経ても、紙は黄ばまず、まるで昨日まで誰かが読んでいたかのようだった。
廷琛は静かに説明した。「これらの医学書は、すべて母上が生前に残されたものだ。父上が時おり人を遣って外に出し、風を通させていたから、今でもこんなに良い状態を保っているんだ」
涼微はその言葉を聞くと、手の中の本をそっと開き、ぱらぱらとページをめくった。
彼女があえて廷琛に医学書を探してほしいと頼んだのは、実のところ将来のための布石だった。
彼女の得意分野はまさに医術であり、その技を捨てるつもりなど毛頭なかった。だが、元の涼微は医術をまったく知らない設定だったため、赫天や廷琛の前では “学び始める” 過程を見せておく必要があった。将来、彼らの前で医術の腕を発揮することになっても、あまりに唐突で不自然に思われ、疑われることのないように――それが、今の彼女の慎重な布石だった。
数ページをめくったところで、涼微はすぐに気づいた。凌氏の残したこれらの医学書はどれも極めて実用的で、しかも外ではまず手に入らない貴重なものばかりだった。
彼女はまるで宝物を見つけたかのように、夢中で読みふけり始めた。
Hadiah
-- Hadiah diterima Status Power Mingguan
-- Peringkat
Power 
-- Power
stone