葉山翔平が腰を下ろすと、小野美咲は慌てて皿から大粒のぶどうを取り、翔平の口に入れた。「ほら、これは大きくて汁が多いから、きっと美味しいわよ!」
美咲が自分の口にぶどうを入れてくれるのを見て、翔平は心の中で興奮と高揚を感じ、急いで大きく口を開けた。
美咲がぶどうを彼の口に入れた瞬間、この小僧はぶどうだけでなく、「うっかり」美咲の二本の指までも一緒に軽く口に含んでしまった。
さらにいたずらっぽく舌で美咲の二本の指をなめた。
本来、美咲が翔平にぶどうを食べさせるのは、ごく普通のことだった。
しかし美咲が全く予想していなかったことに、今回翔平は彼女の指を含み、さらに舌で彼女の指をなめたのだ。
指が襲われ、美咲は全身に電気が走ったかのように、体が震えた。
もともと暑さのせいで少し赤らんでいた頬が、一気に真っ赤になった。
我に返った美咲は慌てて指を引っ込め、翔平を見ることさえできなかった。
一方、翔平というやつは、美咲の指をなめた後、思わず「うーん、美咲さん本当に美味しいね!」と嬉しそうに言った。
ただ、この言葉を聞いた美咲は別の意味に受け取った。
心の中で思わず「この小悪魔、成長して悪知恵がついたわね」と舌打ちした。
しかし、美咲がそんなことを考えている間に、翔平は手を伸ばして一粒のぶどうを取り、美咲に差し出した。
恥ずかしさでいっぱいの美咲は、翔平が自分にぶどうを食べさせようとしているのを見て、さらに動揺した。
すでに赤らんでいた顔が、より一層赤くなった。
すぐに頭を上げて軽く「うん」と言い、慌てて口を開けて翔平が差し出すぶどうを口に含んだ。
しかしそうすることで、避けられず翔平の指に触れてしまった。
美咲の心臓はまたもやドキドキと乱れ始めた。
慌てていたため、ぶどうを皮も種も一緒に飲み込んでしまった。
美咲の慌てた様子を見て、翔平はにやにや笑いながら言った。「美咲さん、暑いの?アイスキャンディー食べる?涼しくなるよ!」
「ううん、扇風機で少し風に当たれば大丈夫よ!それより、早くぶどう食べなさい!」
美咲はそう言いながら、慌てて一粒を取って自分の口に入れた。
「うん、わかった!このぶどうは美容効果があるから、君もたくさん食べた方がいいよ!」翔平もそう言いながら一粒取った。
しかし今、横にいる美咲はぶどうを食べながらも、目の端で隣にいる翔平をついつい見てしまう。
翔平は現在まだ16歳だが、170センチの身長は、男の子の男らしさを十分に示している。
さらに翔平はとても爽やかな顔立ちをしている。そのため、この一目で美咲の心はさらに激しく鼓動した。
この瞬間、美咲はようやく気づいた。ずっと隣人の可愛い弟のように見ていたこの小さな子が、今や立派な少年に成長し、さらに彼女を口説くことまで覚えたのだ。
先ほど翔平にぶどうを食べさせたとき、この小悪魔が機会を見て自分の指をなめたことを思い出し、美咲は突然理由もなく心が乱れた。
美咲が翔平を盗み見ている間に、翔平は再びぶどうを一粒取って美咲に差し出した。
「美咲さん、ほら、一粒あげるよ!」
「うん、ありがとう!」
少し動揺していた美咲はそう言うと、すぐに無意識に頷き、口を開けて翔平が差し出したぶどうをまた含んだ。
同時に、心が乱れていた美咲は、テーブルから一粒のぶどうを手に取り、翔平に差し出した。
「私も食べさせてあげる!」
「ありがとう、美咲さん!」
いたずらっぽい笑顔の翔平は、美咲が差し出したぶどうを見ることもなく、口を開けて自分の口に含んだ。
もちろん、またもや機会を見て舌で美咲の指をなめた。
当然、美咲の心はまたもや乱れた。
しかし今回、美咲は以前のように何も起こらなかったふりはしなかった。
指を引っ込めた後、顔を赤らめ、不満げにぷくっと膨らんだピンク色の唇を尖らせ、左拳を上げて翔平の頭にバンと一発お見舞いした。
同時に冷たく鼻を鳴らし、威嚇するように言った。「この小悪魔、調子に乗って、お姉さんをからかうつもり?」
「あっ……」
予想外にも、翔平が演技じみた痛みの声を上げた後、突然驚いて立ち上がり、目の前の茶卓を見つめた。
空っぽの茶卓にはフルーツ皿だけが置かれているのを見て、翔平は思わず驚きの声を上げた。
「あっ……まずい、しまった……さっきの宝石を飲み込んじゃった!」
実は、先ほど美咲が翔平を座らせたとき、翔平は手を伸ばしてベッドの下から見つけた血色の宝石をさっと茶卓に置いたのだった。
まさか、心が乱れていた美咲によって、それがぶどうと間違われ、翔平の口に入れられるとは。
その直後の一撃で、翔平の口の中にあった宝石は喉の奥に押し込まれ、そのまま一直線に翔平の腹の中に滑り込んでしまった。
翔平が気づいたときには、すべてが手遅れだった。
横にいた美咲は、元々怒ったふりをしていたが、宝石をぶどうと間違えて翔平の口に入れ、飲み込ませてしまったと聞いて、顔色を失い、驚いて立ち上がった。
「あら大変!早く吐き出して!」
宝石を誤って飲み込んだ翔平も、死ぬほど驚き、すぐにトイレに駆け込み、大きく口を開け、ほとんど指を喉の奥まで入れようとした。
結果、吐くことはできたが、誤って飲み込んだ宝石は見つからなかった。
これを見て、翔平だけでなく、一緒に駆け込んできた美咲もさらに焦り、涙が出そうになった。
「翔平、早く吐きなさい!」
焦った美咲は、翔平の口を開き、手を彼の口の中に入れ、宝石を取り出そうとした。
以前なら、翔平はこの機会に美咲の手をしっかりなめていただろう。
しかし今、翔平には全くそんな考えはなかった。
心の中にあるのは、飲み込んだ宝石をどうやって吐き出すかということだけだった。
恐怖に満ちた表情の美咲は、自分の両手に長い爪があることに全く気づいていなかった。
その結果、翔平の口に手を入れて探ると、鋭い爪が翔平の喉を切ってしまった。
一瞬のうちに、翔平の口から血が滴り、さらに恐ろしい光景になった。
「痛い……美咲さん、爪が喉を切っちゃった!」
「あっ……ごめん、ごめんなさい、わざとじゃないの!」
翔平が痛みを訴えるのを聞いて、美咲はようやく翔平の口から血が滴っていることに気づいた。
しかし、美咲が指を引っ込めるや否や、元々痛そうな表情をしていた翔平が突然「あっ」と叫び、便器に頭から倒れ込んだ!
「翔平……」
すでに顔色を失っていた美咲は、翔平が突然叫び声を上げ、頭から便器に倒れ込むのを見て、魂が飛び出すほど驚き、悲鳴を上げた。
「翔平……翔平、どうしたの!」
「おばさん、おばさん……」
「誰か来て!翔平が……」
そして美咲は恐怖に満ちた表情で翔平を抱え上げてリビングに引きずり、同時に泣き叫び始めた。