Capitolo 2: 「悪名高き『エリサンドラ面接』」
ここでアイズリンは介入すると決めた。流しの下から消火器を引き出し、散って燃え移った小さな炎を化学泡で丁寧に覆っていく。台所がようやく安全を取り戻したところで、彼女は父の方へ勢いよく向き直り、叫んだ。
「いったい、何をしてたの？」
「腹が減ってたんだよ」父はしょんぼりと、焦げて台無しになった卵料理を見つめた。「ただ卵を焼きたかっただけなんだ」言い終えるか終えないかのうちに、玄関の方から荒々しいノックの音が響いた。好機とばかりに、父はほとんど駆け出すように台所を抜け、突然の来訪者を迎えに行く。
アイズリンもすぐ後に続いた。父の肩越しにのぞくと、ノックしたのは物乞いのような身なりをした痩せこけた老女だった。「お優しい旦那さま、どうか……」女はかすれた弱々しい声で言う。「お腹が、空いて……今にも倒れそうでございます。年老いた哀れな女に、少し食べ物を分けてはいただけませんか」
だがアイズリンの父は、にこやかにほほえんだだけだった。身を引いて家の中へ招き入れるよう手で示し、「もちろん」と力強く答える。「さっき卵を焦がしちまって、温かい料理は期待しないでほしいんだけど、冷蔵庫に果物とチーズくらいはあるはずだ」
老女の顔つきがぎょろりと変わり、険しくなる。眉間に深い皺を寄せ、玄関マットを苛立たしげに踏み鳴らした。「違う！ それじゃ駄目だ！」先ほどのかすれ声はどこへやら、鋭く澄んだ声に戻っている。「あなたは私を追い返すべきなの！ 私が強大な魔女だと明かした瞬間、あなたの一族を百代にわたって呪ってやる――そういう段取りでしょう！」
アイズリンの父は顔をしかめたが、品よく言った。「ああ、それは結構。正直に言うと、うちの長女は放っておいても自力で新たな暗黒時代を切り開けそうだし、下の娘は来年には大学だ。これ以上呪いを抱え込む余裕はないんだよ。数年後にまた来てもらえるかな」
魔女は心底うんざりしたように眉をひそめ、ため息をついた。「失礼しました。ここはハーベスト・アベニュー2861番地でしょうか？」
「いや、ここはハニーデュー・アベニュー2861番地だよ」父が答える。父は軽く笑い飛ばしたが、老女の目は自分の勘違いに気づいて見開かれた。「たいしたことじゃないさ。みんなよく間違えるんだ。ほら、あそこの角を右折して……」
父が上機嫌で道順を語り続けるあいだ、アイズリンの意識は自分の抱える未解決の問題へと戻っていった。長い内省と先日のアリスとの会話を経て、彼女はついに決めていた――**南グリメリア大学（USG）**に入学すると。平民として生きることに身を固める前に、少なくとも一度は試してみよう、と。両親からの「ほら見たことか」の合唱は覚悟の上だ。あの話し合いに臨むには、相応の心の準備がいる。
やがて老いた魔女は、父から明確な道順と幸運を祈る言葉を授かって去っていった。父は全身に泡を浴びたまま台所へ戻り、にこやかに言う。「で、スクランブルエッグを作ってくれないか？」
「うん、お父さん。すぐに」アイズリンは返事をし、「その前に話があるの。卒業したらどこへ行くか、もう決めた」と付け加えた。
「ほう？」父は何気ない素振りを装ったが、どこかぎこちない。「どこだい？」
アイズリンは視線を落としながらはっきりと言った。「南グリメリア大学（USG）に行くことにしたの。プリンセスの学びが自分に合うか、実際に確かめる。もしどうしても嫌だと思ったら、別の学校に編入するわ」
「それは……いいねえ」父は遮るように言った。声色はなんとか抑えていたものの、瞳の奥には勝ち誇った光がちらつく。最初から彼女がそうするだろうと確信していたのがありありと見て取れ、望みどおりになった今、静かな優越感に浸っているのだ。「それで、卵はいつできる？」
卒業式の会場となった陰気な体育館は、過去七年間引っ張り出され続けてきた白いプラスチックの造花で今年もまた飾られていた。黒いガウンと角帽に身を包んだ卒業生たちは、式の開始を待ちながら、何でもないことを熱心に喋り合っている。
州予選出場をうたうジャズバンドは、三年前の卒業生という客演指揮者を据え、**『威風堂々』**を微妙な出来で奏でた。やがて卒業生たちは二人一組で入場し、涙ぐむ保護者の列の脇を通り過ぎて壇上へ。式が終わるまでの間、皆の視線にさらされる席に腰を下ろした。
アリスは、アイズリンが入場してくるころ、歩くという最も基本的な運動に全神経を注いでいた。ばかげている。1マイルを4分47秒で走れるのに、卒業行進で足をもつらせるのが怖くて、小声で「右……揃えて……左……揃えて……右……」と自分に言い聞かせているのだ。
その必死さにアイズリンは思わず微笑んだが、笑みはすぐに凍りついた。急拵えの客席三列目に立つ両親が大きく手を振っている。母はこれ見よがしに口を大きく開け、**「愛してるわよ！」**と形だけで伝える。近くに座る保護者の何人かがあからさまな不快の色を向けるのを見て、アイズリンの首筋にはじわりと熱が上った。
全員が壇上に揃うと、バージニティ合唱団……ではなく、ヴァーシティ（上級）合唱団が、体育館右手に設けられた反響板付きの仮設ステージへ整列し、義務感で選ばれたような気恥ずかしい定番曲を歌い始めた。いくつかのスピーチが無理にひねり出した冗談で繋がれ、教育の価値を説くお決まりの教員挨拶が挟まれ、ようやく式は本格的に進行していく。
校長は一人ひとりの名前を読み上げながら簡単な略歴を加える。「アーロン・アンダーソン。GPA3.2で卒業。三年間アルカナ部に所属。ゴブリン名誉毀損防止同盟で奉仕活動」――そんな調子だ。
アイズリンの番になると、校長は彼女の学業成績については露骨に触れなかった。代わりにこう述べた。「アイズリン・コリンズは、課外活動にはあまり参加しなかったものの、その存在感で常に周囲を慌ただしくさせてくれました。彼女は**南グリメリア大学（USG）**に進学し、プリンセスになることを目指します」
場内からは小さなどよめきまで上がった。アイズリンの進路を知っていたのは、アリスとごく近しい家族くらいだ。正直なところ、数百人の前で明言されるのを聞くまで、彼女自身も本当に実行するのか半信半疑だった。ぐらつく足取りで立ち上がり、卒業証書を受け取りに向かう。
「プリンセスになるのね？」卒業生を祝う保護者の波の中から、マシューの母が近づいてきて尋ねた。
「はい」
年配の女性は微笑み、やわらかく頷いた。「いとこのエミラが一年前にプリンセスになったのよ」懐かしそうに目を細める。「小さいころは、母の古いドレスを引っ張り出して、当時流行りのおとぎ話をよく演じたものだわ。同じ月に妊娠して一緒にベビーシャワーをやったこともあるの。で、そのあとすぐにうちの小さなマシューが生まれて……」言葉はそこで涙に変わり、「うちの子も大きくなったわ……！」と嗚咽すると、夫がそっと肩を抱いて連れ出していった。
アイズリンはアリスに目を向け、口の端を上げた。「実際に学校が始まるまで、まだ何か月もあるのにね。そんなに大騒ぎすること？」
アリスは肩をすくめた。「卒業ってそういうもんだよ。いわば大人への通過儀礼。実際のところ、親たちが集まって泣いて、子どもを公的に赤っ恥かかせるための社会的口実だ」
相棒の皮肉に、アイズリンはくすりと笑った。「馬鹿みたい、って言ったら怒られるかな」
さらに分析を続けようとしたその時、アリスがわずかに顔を傾け、差し込んだ陽光が彼の頬に残る涙の筋にきらりと光った。慌てて手で拭って隠そうとしたが、捕まえてしまったものは仕方がない。鼻をすんと鳴らし、「高校の競技にはもう出られないんだ……。それに――アイズリン、君がいなくなるのは寂しい」と吐き出した。
アイズリンは、くすぐったさと愛おしさが入り混じる気持ちで、彼をぎゅっと短く抱きしめた。振り返ると、また別の祝福の保護者の群れが彼女を見つけて近づいてくるところだった。
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