偏執的な大佬に愛される人へと転生した

「荒、荒木社長、もし私が男ではなく、実は女だと言ったら、どうしますか？」
「どうすると思う？」
「……話し合いましょう、そのベルトを下ろしてもらえませんか？」
──
中野美桜は芸能界を舞台にした小説の中に転生し、人人気男性アイドルグループの一員となった。元の身体の主は女であるのに男を装い、グループのリーダーである主人公にしつこくまとわりつき、最後には復讐されて悲惨な死を遂げる。
中野美桜、「？」
中野グループの最も愛される娘として、男女を問わず魅了する美貌の持ち主である自分が、どうして嫌な男一人のために命を捨てるようなことをするだろうか？
そして、ネットユーザーたちは中野美桜が突然変身し、天をも衝くイケメンとなって、無数の女友達ファンを熱狂的に追随させるのを目にすることになった。
グループメイトは中野美桜がキャリアに集中し始め、あっという間にファン数が数千万を突破し、賞杯を数え切れないほど獲得するのを目にした。
元の主人公は中野美桜がもう自分には構わず、代わりに自分の兄を囲っているのを目にした……
「荒木社長、これは私が宇治から人に頼んで持ってきてもらったお茶です。試してみませんか？」
「荒木社長、これは私が手作りした甘酢あんかけの魚です。召し上がってみてください？」
荒木大雅は主人公の兄として、原作では主人公を支える最上級の大物で、無数のリソースを持っている。中野美桜は当然彼の機嫌を取り、巨人の肩に乗って出世したいと思っているが、この大物が彼女を見る目がどうしてだんだん奇妙になっていくのだろう……
荒木大雅は忙しく動き回る「少年」を見つめ、その瞳は深く、測り知れず、彼女を一気に抱き寄せた。
中野美桜は驚いて言葉に詰まった。「荒、荒木社長、何をされてるんですか？」
「料理を味わうのではなく、君を味わいたい」
「でも私は男ですよ！」
「僕は男が好きなんだ。」
「へへ、実は嘘をついてました。私は本当は女なんです！」
「僕も嘘をついていた。」
「……」中野美桜は泣き出すこともできず、どうしてやっとの思いで主人公を振り切り、今度は主人公の兄に絡まれてしまったんだろう？