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78.57% 冷酷な夫に「妊娠した」と告げたら / Chapter 11: 第11話:決定的な証拠

Capitolo 11: 第11話:決定的な証拠

第11話:決定的な証拠

[雪乃の視点]

新しい家のリビングで、私は玲司と向かい合って座っていた。

彼の顔は憔悴しきっている。一週間前の自信に満ちた表情は跡形もなく、まるで別人のようだった。

沙耶のことを考える。

彼女は確かに金目当てだった。でも、それだけではない。息子の将来を案じる母親としての一面もあった。玲司の財力と地位を利用して、子供により良い環境を与えたかったのだろう。

そして玲司。

私も、沙耶も、彼が本気で愛していたのはどちらでもなかった。彼が最も愛していたのは自分自身と、絶え間ない新鮮さだった。

「雪乃……」

玲司が口を開いた。

「俺はもう何もかも失った。会社からも追放され、友人たちからも見放された」

彼の声には諦めが滲んでいる。

「でも、お前だけは……お前だけは俺を理解してくれるはずだ」

私は静かに立ち上がった。

「玲司」

「何だ?」

「あなたが留守中の防犯のために設置した監視カメラ、覚えてる?」

玲司の表情が一瞬止まった。

「あのカメラが、全てを記録していたのよ」

私は彼の目を見つめた。

「沙耶が樹に指示して、階段にシャワー液を撒かせたこと。私を転落させて流産させようとした、あの陰謀の一部始終を」

玲司の顔から血の気が引いた。

石像のように固まっている。

「そして、あなたがそれを隠蔽したことも、全部映像に残ってる」

「お前……ずっと知ってたのか……」

玲司の声はかすれていた。

私は微笑んだ。

「一年間、ずっとね」

玲司は椅子から崩れ落ちそうになった。

「俺はどうしてこんな女に……そして、お前を失うことになったんだ……」

彼の声は慟哭に近かった。

私はバッグから書類を取り出した。

離婚協議書。

「十四年間、あなたは私を軽んじてきた」

玲司の前に書類を置く。

「私の痛みも、私の愛情も、全て当然のものだと思っていた」

玲司は書類を見つめたまま、動かない。

「でも、もうそれも終わり」

私は彼を見下ろした。

「離婚しましょう、玲司」

その時、私は微笑んでいた。

冷たく、決定的な微笑みを。


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