私はこいつがふらふらしている様子を見て、腹が立って仕方がなかった。
部屋に入って剣を取り出し、奴を切り殺そうと飛び出した。
一瞬で姿を消してしまった。
私は落胆して部屋に戻った。
誰も私のことを気にかけてくれない、世界中から見捨てられたのだ。
部屋の中で自然消滅するのを待つべきか。
それとも誰にも告げずに山水を巡る旅に出るべきか。
頭にそんな考えが浮かんで、そうすることにした。
金と銀票を集め、小さな包みを肩にかけて馬を引いて出発した。
どこの州や県に辿り着いたのかも分からなかった。
適当な宿屋に投宿した。
しかし運が悪くなると水を飲むのも歯に詰まるものだ。
「ああ〜私はもう死にかけの身なのに。」
「お前たち盗賊どもが私の物を盗みに来るとは。」
私は自分がもうすぐ死ぬと思っていた。
全く眠れなかった。
目を閉じて仮眠を取っていた。
すると、この悪徳宿の者が私の部屋に忍び込んできた。
二人が私の包みを漁っていた。
私が突然大泣きを始めると、二人は大いに驚いた。
私は我を忘れて自分がどれほど不幸かを語った。
宿の主人と下男は鼻をこすりながら、後ろめたそうにしていた。
二人は包みを置き、機嫌を取るように私をなだめた。
「お嬢様、どうか泣くのをお止めください。」
「他のお客様が目を覚ましてしまいます。」
「もう物は盗みませんから、その代わりご馳走を用意させていただきますが、いかがでしょうか?」
そう言って退出していった。
線香一本も燃え尽きないうちに、本当に豪勢な酒と料理が運ばれてきた。
私は今日ろくに食事もしていなかった。
確かに空腹を感じていた。
「お嬢様、どうぞお召し上がりください。」
「生きている限り、思い切り楽しむべきですよ。」
私は宿の主人の言葉に説得された。
「主人、あなたの言う通りですね。」
私は大きく酒を飲み、肉を頬張り始めた。