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翌日、夜が明けるとすぐに、私は早起きして荷物をまとめ始めた。
高橋隆が主寝室から出てきて、私がまとめた荷物を見ると、すぐにその上に手を置いた。
「清香、なぜ荷物をまとめているんだ?どこかに行くつもりなのか?」
隆は困惑した様子で私を見つめ、その目に浮かぶ不安は演技とは思えなかった。
「医者が怪我が重すぎるから、数日間入院するように言ったの」
私は適当な理由をでっち上げた。
隆はほっとため息をついた。
「病院まで送るよ」
そのとき、寝室にいた愛子が興奮して客間に駆け込んできた。手には優等生の賞状を持ち、隆に向かって言った。「パパ、いつ美咲おばさんに会いに行くの?」
「美咲おばさんが私が優等生だって知ったら、きっと喜んでくれるよね!」
しかし次の瞬間、客間に私もいることに気づいた愛子は、すぐに口を閉じ、賞状を背中に隠した。
隆は顔色を変え、急いで愛子を抱き上げて外へ向かった。「戻ってきたら、病院に送るよ」
慌てて去っていく彼の背中を見て、私は頭を振った。
彼が出て行った後、私も荷物を持ってこの家を後にした。
出発前に、離婚協議書をテーブルの上に置いておいた。