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親戚たちは肉を見た野犬のように、匂いを嗅ぎつけて一斉に飛びついてきた。
私は止める勇気がなかった。彼らの今の様子は本当に恐ろしかったからだ。
次伯母が真っ先に薬箱を奪い取り、我慢できないように箱を開けた。他の人たちも期待に満ちた目で薬箱を見つめていた。
しかし結果は彼らを大いに失望させるものだった。
中には抗生物質が三錠と使い捨ての注射器が数本しか残っていなかった。
全員が静かになった。
彼らは互いに顔を見合わせ、目には警戒心が満ちていた。それぞれが心の中で計算していた。
「ゴホン……あなたのお兄さんは家の中で一番年上なんだから、道理からいえば、この薬は私たち家族のものよ!」
伯母が咳払いをして、最初に沈黙を破った。
他の人たちはこの言葉を聞いて即座に不満を示した。
「なぜ!この薬箱は私が最初に手に入れたのよ、薬は私のものだわ!」
次伯母は「パン」と音を立てて薬箱を閉じ、しっかりと胸に抱きしめた。
「いや、お前ら二人の女はなんてわがままなんだ、この薬にはお前らの名前なんて書いてないだろ、俺が言うにこの薬は俺のものだ!」
「ふざけるな!俺のだ!」
「俺のものだ!」
「このクソ野郎、俺の嫁から手を離せ!」
……
親戚たちは一触即発の状態で、収拾がつかないほど喧嘩していた。
誰が最初に手を出したのか分からないが、瞬く間に大乱闘が始まり、殴り合いながら罵り合っていた。
「てめえの母ちゃんをくそっ!俺に手を出すとは、ぶっ殺すぞ!」
「今日お前を始末しなきゃ、俺は人間じゃねえ!」
……
場は一時的に極度の混乱に陥った。
つい先ほどまで団結して祖父の財産を山分けしようとしていた兄弟姉妹たちが、今は数錠の抗生物質のために殴り合っていた。
やはり人間の本性とはこういうものだ。
利益が最優先。
私は冷ややかに鼻を鳴らし、この犬同士の争いを見るのも嫌になった。
私はただ、私を苦労して育ててくれたあの小さなお年寄りが気の毒でならなかった。生前は一日の幸せも味わえず、死後も安らかに眠れない。
少し離れたところに、祖父の遺体が静かに横たわっていた。
濃い緑色の液体がすでに彼の体全体を覆っていたが、それでも私には非常に親しみを感じた。どんな状態であれ、彼は私の最愛の祖父なのだから。
「やめろ!人が死んだぞ!」