絶代悪役皇妃～妖后に転生したので、ご覚悟を

Autore: 惜小卿

Capitolo 1: 悪夢

Editore: Pactera-novel

「天の意思を受け、皇帝が詔す。卓氏姌卿、天恩を被り皇后の位に即くも、その性は嫉妬深く、先日には厭勝の術を弄し、婦道を失い、中宮に立つに足らず。即日、皇后の称号を剥奪し、庶人に降格、冷宮に移す。朕の旨なくしては冷宮より半歩も出るを許さず。欽したまえ」聖旨を手にした宦官は、無表情で床にひざまずく女を見下ろし、淡々と宣告した。「卓氏、さあ、旨を受け恩に謝せよ」

女は呆然と顔を上げ、きらめく聖旨を見つめたが、どうしても手を伸ばすことができなかった。突然、周囲に幾人かの人影が現れる。目を細めて見ようとするが、誰なのか判然としない。しかし、耳には懐かしくも奇怪な声が次々と届いてきた。

「お姉さん、言ったでしょう？私のものは、決して誰にも渡さないって……。今、私の言葉がおわかりになりましたか？」

「はははは！卓姌卿、この毒婦め！こんな日が来るとはな！まさに因果応報よ！」

「ちっちっち……雀は所詮雀、枝に止まる鳳凰にはなれぬもの。たとえなれたとしても、墜ちる時は墜ちるのですよ！」

姌卿には、それらの声が針のように鋭く、鼓膜を刺し、痛みを伴うように感じられた。彼女は耳を覆い、叫び続けた。「黙れ！皆、黙ってくれ！」

「あっ！」姌卿は目を見開いた。一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。周囲を見回し、依然として冷宮にいることを確認すると、静かに息を吐いた。

あれから随分と時が経ったというのに、あの事件は悪夢として消えることなく、彼女を苦しめ続けていた。突然、冷たい風が吹き抜け、姌卿は思わず身震いした。そして、自分の体に冷や汗がにじんでいるのに気づいた。大きく開け放たれた窓を見て苦笑いし、起き上がって閉めようとした。その時、夜空に浮かぶ満月を見上げ、彼女は深い思索に沈んだ。

七年前、同じような満月の夜に、彼女は彼の妻、大錦の皇后となった。あの時、彼は優しい眼差しで彼女を見つめ、緊張する姌卿を温かく励まし、賢い皇后になると信じていると言った。しかし、わずか七年で、すべては変わってしまった。一通の聖旨により、厭勝の術を用いて皇子を害そうとした罪で庶人に落とされ、冷宮に閉じ込められた。世間では、夫婦の情けを慮って命だけは助けたと言われ、厭勝による皇子殺害未遂という大罪にしては「皇恩浩蕩」とされているのだろう。

実は、この結末は予想していたことだった。物心がついた頃から、父も母も、彼女が宮中に入り、卓家の栄華を守らねばならないと言い聞かせてきた。そして次第に、彼女は理解するようになった。自分は単なる駒に過ぎず、父の野心は富貴を守るだけでなく、あの玉座をも狙っているのだと。宮中では、一歩一歩、細心の注意を払って生きてきた。皮肉なことに、彼女は本当にあの人を愛してしまい、心から夫として接していた。しかし、卓家を無視することもできず、一栄え一枯れの道理も理解していた。

長年、父に野心を断念させようとしたり、せめて皇帝に卓家を見逃してほしいと願ったりした。しかし、それはすべて彼女の勝手な願いでしかなかった。父の目には、彼女は単なる駒、言うことを聞かない駒であり、いつでも捨てられる存在でしかない。実の妹は皇后の座を狙って彼女を陥れ、いつも彼女を可愛がっていた太后のおば様さえも、おそらくはそれを手助けしていた。そして、いわゆる夫という人は、この数年間、彼女の前で演技をし、卓家に対抗するための駒として扱っていたに違いない。

卓姌卿は、この結果は自業自得だと思った。最も情けないのは帝王の家だと知りながら、なぜあの人に期待してしまったのか。笑い話だ。彼女は宮中に入った初日から、陛下の表面的な優しさの裏側を薄々感じていた。また、陛下は誰の女性をも愛でることがあっても、決して彼女を愛することはないと理解していた。なぜなら、彼女は卓家の娘、彼の実の母を殺した仇敵の一族だからだ。そう、卓太后は現在の皇帝の実母ではない。現在の皇帝は先帝と芸妃の子であり、芸妃は子が八歳の時に重度の腸チフスにかかり、まもなく亡くなった。その子は当時、まだ妃嬪であった卓玉婷（卓太后）に養育されたのである。しかし、姌卿には明らかだった。芸妃の死は卓太后と無関係ではないだろう、と。ただ、彼女はそれを認めたくなかったのだ。自分自身を欺き続け、ついにはこのような悲惨な結末を迎えた。今は、泣くことさえもしたくなかった。冷宮に来た日から、彼女は生ける屍のようで、毎日、寝台に呆然と座るか、窓辺で空を眺めるかしかしていなかった。

熏兒が部屋に入ってくると、またしても主子が窓辺に佇み、ぼんやりとしている姿が目に入った。白い衣をまとい、髪は後ろに流したまま、美しい顔立ちながら顔色は蒼白で、月明かりが彼女に淡く降り注ぎ、幻のような、儚い雰囲気を漂わせていた。まるで、いつ風と共に消え去ってもおかしくないかのように。そんな卓姌卿の姿に、熏兒は胸が締めつけられる思いだった。彼女は幼い頃から卓姌卿に仕えてきた。世間は卓姌卿を卓丞相家の嫡長女として、必ずや万千の寵愛一身を受ける身だと言うが、熏兒にはわかっていた。父上や母上の大小姐への感情は常に淡く、時に厳しすぎるほどだった。大小姐は幼い頃から宮廷の礼儀を学び、人々は卓家の大小姐は琴棋書画に精通し、立ち振る舞いが優雅で、名家の令嬪の模範だと称えた。しかし、熏兒は知っていた。大小姐がこの評価を得るために、どれほどの努力を重ねてきたかを。そして、大小姐がうまくやってのけて初めて、父上と母上はほんの少しだけ褒めてくれる。そのわずかな褒め言葉でさえ、大小姐を長い間、嬉しがらせたのだ。

彼女は覚えている。お嬢様が七歳の時、新しい曲を習い、母上の誕生日に演奏して聞かせたいと言っていた。お嬢様の指が擦り切れるほど練習するのを、熏兒は見ていた。ついに彼女は耐えきれなくなった。「お嬢様、もう十分にお上手です。それに、母上のご誕生日までまだ半月あります。どうかお体をお大事に」

その時のお嬢様はただ淡く笑って言った。「半月はすぐに来るわ。しっかり練習して、そうすれば母上が喜んでくれるでしょう。もしかしたら、いつも二妹を抱くように私も抱いてくれるかもしれないわ」

彼女は、その時お嬢様の顔に浮かんだ寂しげな表情をはっきりと見た。七歳の少女の顔にあるべきではなかった表情だ。そして母上の誕生日、お嬢様が見事に琴を奏で終えた後、母上はただ「これからもさらに精進せよ」と言っただけだった。一方、次女お嬢様が「お誕生日おめでとうございます」と言っただけで、母上は嬉しそうに次女お嬢様を抱きしめ、「利口ね」と褒めたのだった。彼女は、お嬢様の目に一瞬浮かんだ羨望と悲しみを今でも忘れられない。

時折、熏兒は思う。お嬢様は果たして本当に父上と母上の実の子なのだろうか、と。父上と母上は他の若様やお姫様たちには穏やかな笑顔を見せるが、唯一お嬢様に対しては常に冷淡だった。嫡長女だから厳しいのだと言うなら、長男の若様に対してもそれほど厳しくはなかった。しかし、彼女は一介の下僕に過ぎず、そんなことを口にするわけにはいかず、ただひたすら忠実にお嬢様に仕えるのみだった。

後にお嬢様は皇后に冊立され、陛下はお嬢様にとても優しかった。彼女は、お嬢様についに苦難の時代が終わり、幸せが訪れたのだと思った。その後、次女お嬢様が宮中に入り、昭儀から現在の賢妃まで昇進したが、陛下のお嬢様への態度は変わらなかった。これで彼女はほっと胸をなでおろした。次女お嬢様は幼い頃からお嬢様のものを何でも奪い取り、例外なく次女お嬢様が勝利を収めていたからだ。彼女は本当に心配していた。もし次妹が陛下の寵愛まで奪ったら、お嬢様はどうなってしまうのかと。幸い、陛下は聡明で、彼女のお嬢様の良さをわきまえていた。

しかし、すぐに現実は彼女に容赦なく襲いかかった。厭勝の術？皇子を害そうとした？ありえない！完全な誣告だ。それなのに、陛下はそれを信じ、お嬢様を冷宮に閉じ込めた。果たして、最も冷酷なのは帝王の家なのだろうか。なぜ、お嬢様の運命はこれほどまでに過酷なのだろうか。

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