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Capitolo 7: 7

7

道中、飛行機の揺れにもかかわらず、かつてないほどの気楽さを感じ、ぐっすりと眠ることができた。

着陸後、税関を出ると、新進気鋭の画家・河野霞が自ら迎えに来てくれていた。

この2年間、河野霞は海外で大活躍しただけでなく、国内での知名度も伊藤藍子に迫るほどになっていた。

言わば、藍子が最も警戒する新人だった。

「やっとお会いできました、高橋昭夫さん!」

「あなたが私のマネージャーになってくれたことで、私のキャリアがさらに飛躍すると確信しています」

霞は熱心に語りかけながら、気さくに私を抱擁し、フランス式の頬へのキスの挨拶をした。

これが単なる友好の表現だとわかっていても、見知らぬ女性の親密な仕草に、思わず顔が赤くなった。

十年の付き合いがある藍子は、もはや私に指一本触れようともしなくなっていたのだから。

彼女はいつもこう言っていた。「昭夫、わかる?長年連れ添った夫婦って兄弟みたいなものよ。あなたに触れると吐き気がしそうになるの」

いつの間にか、私は藍子の夫というより、無給のマネージャーと無料の家政夫になっていた。

霞は自ら車を運転し、私のために用意した住まいへ案内してくれた。

高級アパートメントで、設備は完璧、さらに専属のハウスキーパーまで手配されていた。

家賃とハウスキーパーの費用はすべて霞が負担するという。

恐縮して断ろうとすると、霞はこう言った。「高橋さん、表面上は私が家賃とハウスキーパー代を損しているように見えますが、実際はあなたの時間を節約することで、その分を私のために働いてもらえるので、私の方が得をしているんです」

「あなたは私の将来のビジネスパートナー。些細なことに気を取られてほしくないんです」

心が温かくなった。国内とはまったく異なる待遇に、藍子から離れる決断が正しかったと確信した。

霞は私を彼女のアトリエのスタッフに紹介してくれた。全員が熱烈な歓迎を示し、中には私の小さなファンまでいて、どうやって藍子をこれほど急成長させたのかと質問してきた。

外部の人々の目には、私の功績がこれほど大きく映っていたとは知らなかった。

しかし藍子のアトリエでは、彼女はいつも私の欠点を指摘し、私の仕事に問題があると非難し、他人が私を褒めることさえ嫌がっていた。


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