章 2: いつ結婚するんだ？
編集者: Pactera-novel
奈々がこれから何が起こるのかと思った瞬間、突然、何かがドサッと体に覆いかぶさってきた！
正臣は奈々を見つめ、漆黒の瞳に冷たい光が一瞬走った。続けて、両手でシーツをぐいっと引っ張り、ベッドの上の彼女をあっという間にグルグルに巻き付けた。
奈々は驚いて目を見開いたとき、自分がすでに空中に浮いていることに気づいた。
ドアが開く音と同時に、奈々は廊下のカーペットに放り出された。正臣は見下ろすように冷たく奈々を見つめ、薄い唇を動かし、容赦なく一言吐き捨てた。「出て行け！」
直後、「バン！」とドアを勢いよく閉めた！
奈々はポカンと呆然とした。シーツに包まれたまま、しばらく我に返れなかった。自ら誘惑した結果が、ドアの外に放り出されるなんて？
「大塚正臣、女性を大切にできないのか？ あなたってほんと……」奈々はシーツから両手を必死に引き抜き、体を支えてむくりと起き上がった。
そのとき、ドアが再びガチャリと開いた。
奈々が顔を上げると、正臣が帝王のように見下ろすように彼女を冷たく見ていた。
彼の深く冷たい瞳と目が合った瞬間、続きの言葉が喉に詰まって出てこなかった。
「持ってけ！」その声と同時に、奈々の服が全部投げ出された。
奈々は何も考えず地面から跳び上がり、部屋に飛び込もうとした！
「バン！」
ドアが閉まり、危うく鼻をぶつけそうだった！
このクソくらえ！
奈々は怒りでドアをぶち破りたかったが、中にいる人物の地位を思うと、たちまちしょげて頭を下げた。
大塚正臣、天翔グループの後継者にして、ビジネス界を牛耳る絶対的覇者！さらには名門の令嬢たちが夢中になる女が憧れる最強の独身男 ！
天翔グループは莫大な資金力を誇り、ありとあらゆる業界に手を広げ、金融、不動産、エンタメと、まるでアジア全域を掌握する最強の企業だ！ 比肩するものなどない！
そして奈々は……つい数日前まで貧しい少女だったのに、突然のシンデレラストーリーで、佐々木グループの22年間行方不明だったお嬢様に変身しただけだ！
佐々木グループは、どんなに輝いていた時期でも、天翔グループと比べれば天と地ほどの差があった。
もし許嫁でなければ、こんな天の寵児が奈々とまるで関係を持つはずがない！
だから……正臣と奈々の間の距離は、ドア一枚の隔たりなんかじゃ済まない。
「ラララ……」という軽快なサビの旋律が流れ出した。
床に静かに置かれたスマホが突然鳴り響き、奈々は画面に光る番号を見て、小さな顔をパッと曇らせた。そのままドスンと床に座り込み、スマホを手に取った。
「詩織、状況はどうなんだ？ 大塚さんはいつ結婚するって言った？」電話の向こうから、父・佐々木徳寿（ささき とくじゅ）の小心翼翼で、かつ切迫した声が聞こえた。
詩織……佐々木詩織（ささき しおり）？
奈々は唇を尖らせた。佐々木家に戻って数日経つけど、やっぱりこの名前にはまだ慣れない。
彼女は向かいのドアを見て、「あの……お父さん、状況はあまりよくないよ」
「詩織、うちの佐々木グループは破産寸前なんだ。資金は全部凍結されてて、大塚さんの保証がなきゃ、どの銀行も融資してくれない。君の必要な1000万円も出せないよ。だから何としても、大塚さんに結婚を認めさせなきゃ……」
奈々は深く息を吸い、「わかった」と答えた。
電話を切り、彼女は拳をぎゅっと握りしめた。
彼女は絶対に大塚正臣を手に入れ、1000万円を得て、小さい頃から自分を育ててくった母を救う！
奈々、絶対に諦めない！！！
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