ネットが内藤さんの恋を待ちきれない

驚くべきニュースが広まった——望月家の「ダメ令嬢」こと望月清華が、突然言葉を話せるようになり、知能も劇的に向上したという。

飛び級試験で満点を取ったという噂が立つと、人々は鼻で笑った。「絶対にカンニングしたに違いない」と。

清華は気に留めず、名門の誘いを断ってA大学の推薦枠を受け入れ、学問の世界で頭角を現す。
「望月清華が勢力を築こうとしているらしい」とまたしても嘲笑が飛ぶ。「ダメ女が勢力を作れるなら、男が子どもを産めるようになるわ」と。

清華は腹を立てるでもなく、淡々と事業を立ち上げ、静かに大きな富を築き上げる。そして仮面を被り、悪事には容赦なく制裁を加える。
やがて「望月清華が恋をしているらしい」との噂が流れると、相変わらず人々は笑った。「どんな男が盲目になって、あんな女魔頭を好きになるんだ」と。

ところが、ある日——京都のサークルで最も謎めいた御曹司がSNSで公に尋ねた。
「内藤さん、今夜は何が食べたい？ @望月清華」
その投稿は瞬く間に街を騒がせた。目が見えず心が盲目だったのは、嘲笑していた側の方だったのだ。

それ以来、内藤と清華は互いに強者として引かれ合い、恋路を突き進んでいく。