⚠️警告:この章には暴力的な描写や生々しい表現が含まれています。著者は読者を不快にさせたり、扇情的にする意図はありません。ここに記されているのは、物語上の出来事を示すものに過ぎません。読まれる際はご自身の判断でお願いします。
────────────────────────────────────
──年月が過ぎても、私は記憶へと戻される……。かろうじて残っている断片だけ。自分の考えが正しいのかどうかも分からないが、起こったことを断片的にだけ理解している。なぜかは分からない。ただ、なぜ私たちだけが──唯一残されたのか、いまだに説明できない。
──村には大勢の人がいた。だがある日、突然みんな消えた。母は、命を奪われたかのように黒く干からびた遺体を見たと語った。両親の顔はもう覚えていない。だが妹の顔だけははっきりと覚えている。二つの三つ編み、そばかす、布の人形。私を守り、甘やかしてくれた少女。別れたとき、彼女がどうなったのか分からないのが今でも胸を締めつける。
──恐怖は、あの日突然訪れた。ドアが轟音を立てて閉まり、家全体に響き渡った。続いて金属のカチャリという音──銃が装填される音──が血を凍らせた。今ではもう、おそらく父が母を殺したのだろうと分かっている。妹が家にいたのかどうかは分からない。父と外に出たとき、彼女の姿はもうなかった。
──父は私の腕を掴み、肩が外れるほど強く引いた。まだ子どもで、二日間何も食べていなかった。おそらく酔っていたのだろう。涙が頬を伝い、父を見ると、その目は何も分かっていないように虚ろだった。
──父は私を崖へ連れて行き、丸太に縛りつけ、庭に埋めていたラバを打つ鞭で容赦なく打った。そのとき、カメイさん……耳の後ろに三つ編みを垂らしたアジア系の男……心の中で第二の父と思っているあの善良な人……が初めて私を見て、第一の聖者だというあのガルトンにこう尋ねた。「彼にこれをしたのはお前か」と。
──確かめたことはないが、肋骨が見えるほどだったと言われ、二週間近く眠り続けて回復していたらしい。父の鞭打ちは、いまでも肉体と魂に刻まれている。あの日の痛みはいまだ消えない。止めてくれと頼んだ。必死に懇願した。数えた限り三十四回。最初の一撃から体は震え、鞭が額の上や耳にまで届き、肉片が裂けた。泣き叫びながら父にすがった。「お父さん!お願い!やめて!やめて、お父さん!」
──父は止まらなかった。流れる血で目を閉じ、頭皮まで傷を負い、ついに地面に崩れ落ちた。
──聞こえたのは、父の笑いと泣き声だけ。「俺は何をしてしまったんだ」と言い、狂ったように笑い、腰の銃で自らを撃った。目を覚ましたとき、父はそこに倒れていた。私は泣くしかなかった。父を愛していた。抱きしめることすらできなかった。縛られていたのはラバ用の縄。なぜ父が突然狂ったのか分からない。雨の中、泣きながら凍えていた。寒さと空腹で立っていられなかった。山間の村には川が流れ、隣村へ続く道があった。何日も雨が降ったのか、崖は新しい湖の岸辺になっていた。私の村は……消えた。
──そのとき目の前に、燃えるような金色の獣を見た気がする。まるで溶岩でできているかのように燃え、三つの顔──人、雄牛、そして獅子──を持ち、翼を広げ、全身に無数の目を宿していた。
──その獣が私の額に触れ、私はそのまま眠りに落ちた。
──どれくらい時間が経ったか分からない。目を開けるとカメイさんがいて、「動くな、坊や。傷が開くぞ」と言った。
──彼は私を手当てし、薬をくれた。もっとも、黒くて苦い奇妙なスープのように思えたが。
──あれからもう五十年近く経つと言うのが怖い。あのとき私は五歳だった。だがなぜか、あの悲劇の前の記憶は何もない。ただあの日の前に抱いていた感情だけが残っている。
──ヴェルモットに着いてから、私にとって地獄の日々が始まった。神が私に不老を与えた、あるいは老いることを禁じたと言われた。五十三歳になった今も顔は若者のままだ。
──あの雷鳴の夜、丸太に縛られていたとき、体が震えていた感覚を今でも覚えている。
──ガルトンという男は、私が回復するとあらゆる方法で拷問した。「なぜ神がこんなクズを選んだのか分からない。お前は火の聖者じゃない。ただの無駄だ」と。
──彼の言うには、私は火の聖者と呼ばれる存在で、ある予言を果たさなければならないという。しかしその予言が何なのか、私には分からない。
──彼は私を「訓練」した……と言っても、実際には私の体を使って重荷に耐えられるか試しただけだ。短刀で切りつけ、何年も耐久訓練を続け、眠っている間でさえ。
──両手両足を縛り「自力で解け」と言われた。だが私が縛られたのは毒虫や蟻だらけの木だった。
──十八年近くが過ぎ……彼はただ私に飽きただけだった。なぜカメイさんが何もしなかったのか、いまだに分からない。だがガルトンの力を知ったとき、自分でも何もできなかっただろうと思う。
──ここに来てからずっと自問している。「なぜ私なのか」。殴られ、命令され、従うしかなかった。鏡を見ると、空っぽの殻しか映らない。目的のない人間。予言?それが一体何だというのか。
──最悪なのは、この場所から出られないことだ。何かが私をこの小屋と無限に続く森に閉じ込めている。
──なぜ彼が私を選んだのか。何の資質もない。いっそ生まれない権利をくれればよかったのに。死にたい。生きることは絶え間ない苦痛だ。だがもう……どうでもいい。
──死ねないことと、死にたいのに神の加護で死ねないこと。どちらがより残酷なのか。
──神は私を苦しめるために生まれさせたのか。両親が死んだことも予言の一部だったのか。理由なき苦しみも予言だったのか。
──分からない。ただ、考える力すら残っていない。誰かに殺してほしい。いちばん辛いのは……ヴェルモットに来る前、自分の名前が何だったのか思い出せないことだ。