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9.58% 世界滅亡の原因となった悪の一人息子として転生 / Chapter 7: 第7話: 謎の男の正体?

章 7: 第7話: 謎の男の正体?

嵐の雨の夜、謎の男はエレナを再び説得することに失敗した。そのことが、男を少し失望させたようだ……

かつて彼が知っていたエレナは、もはや同じ女性ではなかった。

エレナの心には愛の感情などなく、残っていたのは深い失望からくる憎しみだけ。

エレナの変化以外にも、男をさらに落胆させる事実があった。そしてそれは……

「マイケル……か。『全ての人間に幸福をもたらす天使』から取った名前だ。

レナが、我が子にそんな美しい名を付けたのか……正直、まだ受け入れるのが難しい……」

男は少し寂しげにそう呟いた。

激しい雨の中、エレナの家を後にした謎の男は、真夜中の街に立ち、青く輝くテニスボール大の水晶玉を取り出した。

エレナを説得できなかった今、男は誰かと連絡を取り、これまでの出来事を報告する必要があった。

エレナの息子が「マイケル」と名付けられたことも、その中に含まれていた。

「少し整理させてくれ……つまり、この約7年間、エレナ嬢はシルヴァスカ王国で一人でお前の子を育てていた。

そして、お前は魔法塔の問題に忙殺されている間に、彼女を『邪魔だ』という理由で離婚した。

なるほど、なぜ彼女がもうお前に会いたがらないのか、少し理解できた……

だが、マジで本気か!?

彼女がたった一人で7年も子を育てていたのに……お前は今までそれに気づかなかっただと!?」

水晶玉の中から聞こえる男の声は、驚きと怒りに震えていた。

謎の男は、遠く離れた友人と通信していた。

その友人は、過去のエレナをよく知っているようで、「エレナ嬢」と呼び、彼女への同情を隠さない。

「まあ、そんなところだ」

男は淡々と答えた。

「ハァ……!」

ため息が漏れる。

「お前が狂っているとは以前から思っていたが、これは……本当にヤバいぞ!

俺が魔法外交と遠征で忙しかった間に、お前とエレナ嬢の間でこんなことが起きていたのか。

つまり、結婚中からお前は彼女を無視し、彼女が何をしていようと一切気にかけなかった……だと!?

今までお前のトラブルの後始末は何度もしてきたが、この件に関しては黙っていられん……。

第一、お前は妊娠中の女性を離婚した.

第二、その上、敬意も後悔もなく彼女を捨てた。

第三、彼女の貴族権を剥奪し、国外追放までした。

正直、考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうだ……。

お前はただのクズ野郎だ。最低な男ですら、相手に少しの同情はするものだが!」

友人である男は、この状況に我慢ならなかったようだ。

これまでにも数々の問題を処理してきたが、今回は限度を超えていた。

これは単なる家族の問題ではなく、重大な政治的スキャンダルにもなり得る。

「わかっている、兄貴……。だからこそ、俺はレナを説得して連れ戻そうとしたんだ。

彼女が俺を憎む理由は十分理解している……だが、ただ責任を果たしたいだけだ。

彼女と一緒に、我が子を迎え入れたい……」

男は「兄貴」と呼びかけ、真剣に語った。

「……その考えはやめておけ。

俺の妻はエレナ嬢をよく知っているが、彼女は一度傷つけた者を決して許さない。

ましてや、かつて最も信頼していた者なら尚更だ」

友人は、男の計画を諦めるよう忠告した。

「……で、その子の件だが。

本当に帝国皇族の特徴を持っているのか?」

友人はさらに問いを重ねる。

「赤い瞳に、漆黒の髪……だと?」

「ああ、この目で確かめた。あの子は……間違いなく俺の子だ」

男は確信を持って答えた。

「……ふむ。これはまずいことになるかもしれん。

もし本当に帝国皇族の血を引いているなら、あの子も同じ能力を持っている可能性がある。

そのまま放っておくわけにはいかん……」

友人は警戒したように言った。

皇族の力が敵国に渡れば、帝国にとって脅威となる。

「だからこそ、俺はレナと子供を早く連れ戻さなければ――」

「軽率な行動はするな!」

男が勢い込むと、友人は即座に制止した。

「お前は今、中立国シルヴァスカに潜入している身だ。

不用意に動けば、魔法同盟に察知され、シルヴァスカも敵に回すことになる。

帝国は既に多くの敵を抱えている。これ以上増やすわけにはいかん」

「シルヴァスカに関しては、正式なルートで入国できるよう手配しよう。

だが、今は東部戦線が逼迫している……ヘリオス陛下、すぐに援軍が必要だ」

最後に、友人は男を「陛下」と呼んだ。

――この謎の男は、帝国の高位者、あるいは皇族そのものなのか。

「ちくしょう……! どうして、いざという時に限って急用が入るんだ……!?」

男は苛立ちを滲ませた。

「……わかった。東部に向かう。

だが、レナと子供をハスヴァルトに連れ帰る計画はしっかり立てておけ。

一刻も早く、彼らを迎えに行きたいんだ」

男は不承不承ながらも戦線への支援を承諾し、再びエレナ親子を奪還する決意を固める。

「…………」

やがて、男の足元に魔法陣が浮かび上がった。

白と淡い青の光を放ち、その術式は一瞬で男の姿を包み込む。

――空間転移魔法。

男の身体は光の中に消え、遠く離れた戦場へと飛ばされていった。

(次回へ続く)

—To Be Continued—


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