章 7: 第7章紅舞赤人

数歩ほど歩き出したところで、鋭い叫び声が突然虚空から響き渡り、荻原健太の注意を引いた。

「紅舞工房の任務だ！関係者以外は即刻現場を離れろ！」

健太の体が大きく震え、すぐに振り向いてその先頭に立つ赤毛の剣士を見つめた。彼の後ろにはさらに七人の仲間がおり、全員が紅舞工房のメンバーと思われた。

「血舞紅人！」健太は心の中である名前を叫んでいた。以前健太を伏撃した紅舞のメンバーの中に、彼がいたのだ！

「何を見てる？お前らのことだよ、さっさとどけ」血舞紅人が傍若無人に叫び、その標的はまさに長身の戦士が率いる五人パーティだった。

紅人の声を聞き、二時間前に健太を誘ってきた長身の戦士は眉をひそめ、一歩前に出て、毅然とした態度で言った。「友よ、俺は風焔工房の風間猛だ。ここにいるのは全て我が工房の新人で、俺が彼らを連れて修行しているんだ」

「風間剛毅の部下か？」風間猛の言葉を聞いて健太は眉をひそめた。彼は風焔工房を知っているだけでなく、その頭領である風間剛毅とも面識があった。前世では、健太は彼と何度か協力関係にあり、剛毅はかなり優秀な魔道師だった。しかし、風焔工房はまだ設立されたばかりで、実力で言えば紅舞工房には遠く及ばなかった。

紅人は血のように赤い長髪を振り払い、顔には軽蔑の色が浮かんでいた。「何が風焔工房だ、聞いたこともない。くだらねぇこと言ってないで、さっさと消えろ」

「紅舞の連中はやっぱり傲慢だな。いつか必ず代価を払わせてやる」健太の目に冷たい光が走った。彼は前世の教訓を忘れていなかった。今ここには紅舞の8人がおり、しかも全員が弱そうには見えなかった。むやみに行動すれば勝ち目はまったくない。

「我らの風焔はまだ立ち上げたばかりだが、お前たち紅舞も調子に乗りすぎるなよ」紅人の軽蔑的な言葉を聞いて、猛もじっと我慢できなくなってきていた。同じ町にある二つの工房が小さな摩擦を持たないはずがない。彼が工房の中核メンバーでなければ、工房のことを気にする必要もなく、とっくに暴発していただろう。

「はは…」紅人は突然大笑いし、手にした青銅級の波光の剣を掲げると、目に突然残忍な色が浮かんだ。「なに？文句でもあるのか？」

言葉が終わるや否や、猛が答える前に紅人は突然強擊を繰り出し、猛に斬りつけた。剣士の強擊スキルが持つスタン効果が発動し、猛は6秒間の気絶状態に陥った。

紅人は冷笑し、後ろの仲間に向かって叫んだ。「兄弟たち、行くぞ！まずは後ろの雑魚どもを倒せ！」

「殺れ！」他の紅舞メンバーはすでに待ちきれない様子で、紅人の命令を聞くと近接職業たちが叫びながら突進し、魔道師は杖を上げて呪文を唱え始めた。

ボンボンボン！

いくつものファイアボールが空中を横切り、猛の後ろにいた数人に命中した。彼らは工房に入ったばかりの新人で、このような状況に慣れていない。猛という主軸がいなければ、効果的な防御や反撃を組織することができず、まさに烏合の衆だった。

「紅舞はやっぱり卑劣だな」健太の表情は冷静そのものだった。紅舞メンバーの注意が風焔の面々に集中している隙に、彼はそっとステルスを発動させ、姿を空気の中に消した。

紅舞数人の猛攻の下、猛の後ろのパーティはすぐに二つの白い光が連続して浮かび上がった。魔道師と聖職者が最初に集中砲火で秒殺されたのだ。

ついに猛が意識を取り戻し、仲間が二人も倒れたのを見て、目を血走らせた。「紅舞のクソ野郎！てめぇの家族もろとも死ね！」

猛は狂ったように紅人に向かって突進し、あっという間に紅人と戦闘状態になった。

「まったく軽率だ」猛の激情にかられた様子を見て、ステルス状態の健太は小さく首を振った。パーティのリーダーとして、こんなに感情的になるべきではない。今すべきなのは残った仲間を組織して反撃するか逃げるかだ。傍観者は冷静に見えるが当事者は混乱する、まさにこの状況にぴったりの言葉だ。

「まあいい、俺が少し手を貸してやろう」健太は歯を食いしばり、決断を下した。猛にパーティ加入申請を送ってから、紅舞メンバーの背後に忍び寄った。健太は紅舞工房のメンバーを骨の髄まで憎んでいたが、それでも冷静に風間猛のパーティへの加入申請を選択した。これで先に攻撃しても、システム側では自衛反撃と判断される。健太はこんな雑魚のためにゲーム序盤で赤ネームになりたくはなかった。

システム：プレイヤー望月無跡があなたのパーティへの加入を申請しています。承認しますか？

猛は一瞬固まり、辺りを見回したが他のプレイヤーの姿は見当たらなかった。望月無跡？知らない人物だが、今はそれどころではない、承認だ！しかしこの一瞬の躊躇のせいで、彼は再び紅人の貫心突きを食らい、20ポイントのダメージを受けた。

システム：あなたは風間猛のパーティに加入しました。

システム通知を受け取ると、健太はすぐに歩を速め、紅舞治癒親父と呼ばれる聖職者の数メートル後ろまで接近した。魔法系職業は知覚力が高く、高精神力の聖職者の知覚力は特に優れていた。

今、治癒親父は仲間に初級治療を次々と唱え、HPを回復させていた。初級治療は詠唱不要のスキルだが、どんな呪術も手の動きが必要であることを忘れてはならない。

治癒親父が再び杖を上げて治療を唱えようとした時、健太は一気に飛び掛かり、バックスタブを発動させ、冷たく光る短剣を容赦なく彼の背中に突き刺した。

「誰だ！」治癒親父は背後の異変を感じたが、杖を下げて振り向き健太を見た時には、身をかわすには遅すぎた！

ズブッという音と共に鋭い短剣が治癒親父の背中に深く突き刺さり、－80という真っ赤な数字が浮かび上がった。布装職業の物理防御は炎リス以下だった。

治癒親父が反応して逃げようとした時、健太は再び突き刺しを繰り出し、彼の体を貫いた。－45、－12という二つのダメージ数値が浮かび、健太は連撃ボーナスを発動させた。治癒親父は襲撃者の姿をはっきり見ることさえできないまま、白い光に包まれて無残に倒れた。

「くそっ！暗殺者の奇襲だ！戦士たち、急いで戻れ！魔道師は青い革鎧の暗殺者を集中して倒せ！」紅人は風間猛からの二度の攻撃を耐えながら、声を枯らして叫んだ。

このとき、風焔の五人パーティは猛ともう一人の戦士だけが残っていた。他の三人のHP低く防御力の低い職業はすでに全滅していた。猛は絶望していたが、望月無跡という暗殺者が電光石火の速さで敵を一人倒したのを見て、一気に士気が上がり、紅人に食らいついて彼の注意を分散させないようにした。

「ふん、逃げるつもりか」健太は緑袍魔道師を追いかけ、突き刺しで背中を貫いた。緑袍魔道師の体が一瞬止まり、すぐに健太の短剣に再び襲われた。彼のHPはたちまち31%まで減少した。