概要
キャラ崩れ中の男性主人公VS 転生後に黒化した女性主人公
三十歳前にして鴻凱のCEOに就き、ビジネス界で風雲を駆けめぐる松本信之。温厚で謙虚なキャラが、今、崩壊の危機に瀕している。
最近、社員たちの間で疑問が渦巻いていた。仕事一筋のはずの社長が、午後三時になると、定刻で退社するというのだ。
ある日、社長は時間を忘れ、三時を過ぎてから慌ててテレビの電源を入れたが、ネットに接続されていない。
彼は秘書室に電話をかけた。「設備部と技術部の者全員を、即刻、俺のオフィスに呼べ」
秘書は疑問を抱えた。「??天地がひっくり返るような事態ですか?」
数分後、社長室は人で埋め尽くされた。彼は言い放った。「2分以内に、このテレビを直せ」
その時、秘書は得意げな表情で言った。「社長、2秒もいりません。2秒で済みます」秘書はゆっくりとLANケーブルを差し込んだ……
ネットが復旧し、社長は足を組みながら、テレビに映る「脳内まで恋に落ちた」ようなドラマを満面の笑みで見つめている。
なんと、そのドラマに出てくるわがままな女性端役「N」が、彼の愛しい人だったのだ。
秘書は言った。「社長、総務部から連絡です。最近、社長の車がいつも同じ場所でオービスに撮影されているそうですが」
社長はため息をついた。「あの角は彼女の家に一番近いんだ。駐車しやすいし、車の中で何かしようとしても、人目につきにくいからな」
秘書は疑問を抱えた。頭上には監視カメラがついているんですけど、人目につきにくいですか?
それに、十日間で五十枚以上の反則切符とは、いったいどういうことなんです?
社長は恋愛講座に申し込み、他の受講者から聞きかじった甘い言葉を、そのまま彼女に送信した。【今夜は君と星を見よう。蛍を三百匹、捕まえてあげる】
秘書がたしなめた。「外は今、雪です。星は見えませんし、蛍の繁殖期でもありません」
社長は、もう取り消せないメッセージを見て悔やんだ。「なんて残念だ。このメッセージ、来年の夏まで取っておくべきだったよ」
秘書:えっ……
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